三十六話 ページ36
「それは良かったです。皆さん根は真面目な人ばかりなんですよ」
ワインを飲む教授は、どこか申し訳なさそうだった。
「模擬戦の計画はグルッペンさんが企てたんですけど、私も協力したのは間違いではないんです」
エーミール教授は一つずつ話し始めた。
我々幹部は私の行動パターンを調べ、隙を狙う。
適当に合同軍事演習を組んだあと、私が一人になるときを狙って場所と時間の変更を伝える。
ちなみに合同軍事演習はドタキャンし、第一部隊と第二部隊のみで行ったらしい。
「Aさんは権力に弱いというか、すぐグルッペンさんの言う事に従ってしまいそうで」
あながち間違いではない。権力絶対である。
「遠回しに止めたんですけど、伝わったなら良かったです」
なるほど、あの時の言葉はそういうことだったのか。
「……教授、もう気にしないでください。私は自らの意思でここに来ました」
自分で決めて、自分が負けて、自分で掴み取ったものだ。
誰かに無理強いされたなら、私は今こんなに笑っていないだろう。
「……今まで見てきた人のなかで、一番の教え子ですよ」
「ちゃーんといい子になりましたよ、教授」
ね、兄さん。
突然話を振られて驚いたのか、飲んでいたウイスキーを吹き出す兄さん。
「お、おう。そうだな、良く出来たやつだな」
「隣にいるのに全然話聞いてなかったよね」
「聞いてたわ、大体は」
「大体って、それは聞いてないのと同じでしょ」
たわいもない小さな痴話喧嘩。
私はこれだけで幸せ。
「Aちゃんって彼氏いる？」
ほろ酔い程度に酔ったAちゃんに、それとなく話をふる。
僕は見逃さなかった。一部のメンバーが反応したのを。
いやどこぞやの大天使とか神様とかJKが反応するのはまだ分かる、分かるけど。
……いやあ、ちょっと予想外で驚いた。
「え〜、私にいる訳ないじゃないですか。周りはみんな軍人さんですよ？」
「こう、ハーレムとかありそうやん。あんまり女の子いないから」
Aちゃんは首を傾げたあと、へらっと笑った。
「はーれむ？は分からないですけど、すっごい昔はよく飲みに誘われてましたよ。未成年でしたから断りましたけど」
「まあ、むさ苦しい男共の中に可愛い女の子がいるだけで花咲くもんな」
「ふふ、そんなことないですよ。大先生は冗談が上手いなあ」
あ、これ完全に酔ってるわ。
「体術とか急所とか、手取り足取り教えてくくれましたよ」
成人前の女の子に触れるって、羨ましいよね。
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さとうきび(プロフ) - 怜さん» 返信が遅くなり申し訳ありません。確認したところ特には異常ありませんでした。ご報告ありがとうございました。 (2018年5月18日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 38話非公開になってませんか？ (2018年5月15日 0時) (レス) id: c7556a56f2 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 夜狐さん» コメントを返すのが遅れてすいません。これからもどうぞよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 独奏さん» コメントありがとうございます！返すのが遅れてしまいましたが、これからもよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
夜狐 - 題名と内容が気になって見にきました！自分はこういうお話好きですよ♪次の更新楽しみにしてますね♪ (2017年11月7日 21時) (レス) id: 8cf2fbf423 (このIDを非表示/違反報告)
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