三十五話 ページ35
「えっと、先輩」
「美味しいやろ？もう一個」
何個目か分からない餃子を口に運ばれ、私は涙目になってくる。
美味しい、美味しいけれど！
「はい、あーん」
清々しいほどの笑顔で言われると、言葉がつまる。
「ひい……」
「ゾム、そのくらいにしなよ」
目の前に来たのは小柄な男性。
「えー、トントンより反応が面白いんよ」
「悪趣味やなあ」
桃色の目と目が合い、男性はにっこり笑う。
「Aだよね？僕はロボロ。よろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
ロボロは主に後方支援をしていて、機械関係を扱うのが得意らしい。
「ところでさ、Aってお酒強い？」
大先生にも聞かれたような質問だが、答えはノーである。
コップ一杯で呂律が回らなくなるほどの弱さだ。
「いや、全然飲めないかな。むしろ弱い方」
「そっか、今からペ神と飲み比べするんだけどゾムもどう？」
「俺はええわ。お前ら二人には勝てへんよ」
「そんなこと言わんといてや」
嫌がるゾム先輩を笑顔で引きずっていくロボロ。
彼のどこにそんな力があるのだろうか。
胃休めにどこか座ろうと、周りを見回す。
視界に入ったのは、見知った二つの後ろ姿。
「トントン、隣いいですか？」
「Aか、構わへんよ」
トントンの隣には兄さんがいて、ウイスキーを飲んでいた。
何かを話す訳でもなく、ただゆっくりと時間が流れていく。
私は目の前にあった度の弱いお酒を飲む。少しくらいなら大丈夫だろう。
気づくと、向こう側が騒がしくなっていた。
「時代は移り変わり、群衆が戦火を掲げれば戦いは始まった！」
「グルちゃんかっこいいー」
「グル劇場」
「総統の演説会の始まりだー」
顔を赤く染めたグルッペンは、勢い良く語りだす。
というかあんな姿、初めて見た。
「帝国軍は遥か北へ進み、その軍靴を高らかに響かせていった」
「空挺部隊は空高く飛び周り、敵兵に恐怖を植え付ける」
「夏の電撃戦、冬の後退戦、全てが心踊るようなものでーー」
「ちょっとあいつ止めてくる」
トントンは席を立って、グルッペンのところに真っ直ぐ向かった。
苦労人のかな、多分。
のんびりとお酒を飲んでいると、目の前にエーミール教授が座った。
「どうですか、Aさん。この雰囲気に慣れましたか？」
その問いかけに、私は曖昧に答える。
「まだよく分からないです。でも、みんないい人だと思います」
すると、教授は安心したように笑った。
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さとうきび(プロフ) - 怜さん» 返信が遅くなり申し訳ありません。確認したところ特には異常ありませんでした。ご報告ありがとうございました。 (2018年5月18日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 38話非公開になってませんか？ (2018年5月15日 0時) (レス) id: c7556a56f2 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 夜狐さん» コメントを返すのが遅れてすいません。これからもどうぞよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 独奏さん» コメントありがとうございます！返すのが遅れてしまいましたが、これからもよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
夜狐 - 題名と内容が気になって見にきました！自分はこういうお話好きですよ♪次の更新楽しみにしてますね♪ (2017年11月7日 21時) (レス) id: 8cf2fbf423 (このIDを非表示/違反報告)
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