三十三話 ページ33
十七時になったら食堂へおいで、とオスマンは言った。
時間はまだあるし、服を着替えようかな。
クローゼットを開けると、前と変わらない洋服がずらりと並んでいる。
ただ一つ違うと言えば、見覚えのない服があることくらいだ。
首を傾げて、それを手にとってみた。
肌触りの良い、真っ白なワンピース。
こんなワンピース、買った覚えがない。
丁寧に取り出そうとすると、何かがひらりと落ちた。
「……『良かったら着てみてください、オスマンより』」
周りを見ると、これまた知らない箱が。
それを拾い上げると、整った字で書かれたメッセージカードがついている。
「『似合わなかったらごめんな、トントンより』」
箱を開けると、胡桃色の編み上げブーツが入っていた。
……ちょっとだけ泣いていいよね。
こんなに嬉しいことってないよ。
窓からは秋なのに温かい風が吹き込む。
夕焼けに染まるオレンジ色の空は、紫色の夜が押し寄せていた。
「大先生邪魔やどけ！」
「シャオちゃん辛辣ぅ！」
「おい誰やつまみ食いした奴、怒らないから正直に言え」
「シッマがしてるの俺見たでー」
「ふざけんな！ゾムお前やろ！」
「痛っ、足踏むなや」
「ちっちゃくて見えんかったわ、ごめんな」
「やかましいわ！それよりグルッペン何しとんの？」
「どのケーキが一番大きいかな、って。あ、このタルト食べたいぞ！」
大先生を押しのけ、チキンをテーブルに運ぶ。
時間を見ると、すでに十七時を過ぎていた。
「おい、もう時間過ぎてるで！」
「はよ終わらせろ！間に合わんて！」
トントンの呼びかけも虚しく、食堂への足音が聞こえた。
「あ、俺迎えに行こっと」
唯一手が空いていたひとらんが、廊下まで出ていった。
食堂はいっそう騒がしくなり、穏やかなのはペ神と兄さんくらいだった。
ちなみにエーミールにはワインを取りに行かせた。新人いじりってやつだろう。
「おーい、主役の登場だよ……って全然終わってないじゃん」
珍しくマスクと帽子を脱いでいたひとらんだが、俺はその後ろの人に釘付けになった。
「こ、こんばんは……」
長い髪は腰のあたりで揺れていて、すっぽりひとらんの後ろに隠れている。
白いワンピースの上に緑のカーディガンを着ていて、どこか清楚な雰囲気がある。
対照的に黒いタイツとブーツをはいていてそれはもう、
「シャオちゃん見すぎやで、困ってるやん」
後ろからぼそっと言われ、何も言わずに鳩尾を殴っておいた。
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さとうきび(プロフ) - 怜さん» 返信が遅くなり申し訳ありません。確認したところ特には異常ありませんでした。ご報告ありがとうございました。 (2018年5月18日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 38話非公開になってませんか？ (2018年5月15日 0時) (レス) id: c7556a56f2 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 夜狐さん» コメントを返すのが遅れてすいません。これからもどうぞよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 独奏さん» コメントありがとうございます！返すのが遅れてしまいましたが、これからもよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
夜狐 - 題名と内容が気になって見にきました！自分はこういうお話好きですよ♪次の更新楽しみにしてますね♪ (2017年11月7日 21時) (レス) id: 8cf2fbf423 (このIDを非表示/違反報告)
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