二十六話 ページ26
遮断された分厚い壁の向こうからは、慌ただしい声がいくつも聞こえる。
ただ、何を話しているかはよく聞き取れない。
シャベルを構え直し、目の前の彼女に向ける。
手加減はしない。向こうもきっと同じだ。
何故こうなっているのか。
理由は数分前に遡る。
「こちらひとらん、大先生やられました」
『おう大先生、後で粛清な』
苦笑いを浮かべるひとらんに、顔を青くする大先生。
「トントン、彼女煙幕弾持ってる。多分閃光弾とか小型爆弾も所持してそう」
ついさっき大先生が煙幕の中で肩を撃たれた。煙が無くなった時には姿は見えなかったけど。
『シャオロン、そこはひとらんに任せてエリア4に行ってくれ。そこなら挟み撃ちできる』
「了承。じゃあひとらんよろしくな」
「おうよ、任せろ」
うめき声を上げる大先生をほっといて、エリア4に向かう。
遠距離戦最強の彼女。
名前は忘れてしまったけど、すごく興味を持つ。
自分は近接戦が好きだし、むしろ得意分野だ。
だからこそ、戦ってみたい。
廊下を走っていると、耳元から音声が流れる。
『こちらロボロ、オスマン撃たれたで』
『は？こちらトントン、コネシマやられましたあ！』
……結構やばくね？
内心焦り、シャベルを握り直す。
『おいゾム、エリア4にいるからはよ来てくれ！シャオロンどこにおる！』
『俺ダクトから向かってる。もう着くわ』
「もうすぐ俺も着くからな！」
トントンの焦った声と、銃声が混ざって聞こえる。
いや、これはインカム越しではなく確実にーー
「トントン、！」
広間に出ると、トントンが蹲っていた。
こちらに気づいたのか、顔を向けるトントン。
「すまんなあ、体鈍ってるわこれ」
七三分けの髪は乱れ、右腕を抑えている。
申し訳なさそうに笑う彼。どうやら利き腕をやられたらしい。
「ええから、俺らに任せとけや」
いつの間にか合流していたゾムは、サバイバルナイフを構える。
「シャオロン、俺突っ込むわ」
「じゃあ左から」
目の前には銃を構えた女の子。
遠距離戦が得意と聞いたが、どうやら銃火器を扱うのが得意のようだ。
「……いくで」
ゾムの呟きで、一斉に走りだす。
銃を撃を通してつよりも、きっとゾムの走りの方が早い。
そして怯んだところに背後から。
そう思っていた。
……女の子は後ろに手を探り、何かスイッチを押す。
「、ゾム」
気づいた時にはもう遅かった。
ーー天井から、厚い石壁が降ってきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1024人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さとうきび(プロフ) - 怜さん» 返信が遅くなり申し訳ありません。確認したところ特には異常ありませんでした。ご報告ありがとうございました。 (2018年5月18日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 38話非公開になってませんか？ (2018年5月15日 0時) (レス) id: c7556a56f2 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 夜狐さん» コメントを返すのが遅れてすいません。これからもどうぞよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 独奏さん» コメントありがとうございます！返すのが遅れてしまいましたが、これからもよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
夜狐 - 題名と内容が気になって見にきました！自分はこういうお話好きですよ♪次の更新楽しみにしてますね♪ (2017年11月7日 21時) (レス) id: 8cf2fbf423 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
