二十四話 ページ24
我々幹部になる気はないか。
はっきりとした声で私に告げる総統閣下。
思考が追いつかなくて、口がはくはくと開く。
え、え？
幹部？つまり引き抜きってこと？
「うちの書記長や外交官、その他の面子もお前を高く評価している。
どうだ、悪い話ではないだろう？」
一歩、こちらに歩みよる総統閣下には、威圧感のある佇まいだ。
その空気に怯み、了承の言葉を口にしそうになった。
『自分の好きなように生きてください』
『誰かの権力で押しつぶされても、自らの意思で動いてください』
『自分の意思を、まっすぐにぶつけてください』
『それが、兄さんの望みだと思いますよ、Aさん』
教授は、いつでも私の憧れの人だ。
どんなときでも答えを導き出してくれる。
私は小さく息を吸うと、はっきりと総統閣下の目を見た。
「申し訳ありません。断らせてください」
「……ほう」
続きを促されるように、また一歩近づく。
「……私は若くして軍に所属しました。しかし、私はまだ経験も知識もありません。そのために私には、」
部下は一人もいません。死にました。
私は屍の上に生きている。
自分の築き上げた屍の上で、一人引き金を引き続けている。
「ああ、『あの事件』か」
数年前に起きた事件。
敵国の土地を遠距離チームのみで制圧を命令され、三日かけて遠征に行った。
……はっきり言って、地獄の三日間だった。
その時はまだ第四部隊で、隊長を任されたばかりで。
まず敵国は毒をまき、吸い込んだ者を数日にかけて苦しめた。
弱った兵をその場で虐殺、中には実験体にさせられたとの噂もある。
最前線で戦っていた私は後ろの出来事に気付かず、気づいたときには血溜まりに浮かぶ何百もの兵士がいた。
次々に血を噴き出して倒れる部下。
何も出来ずに、ただ敵を撃ち抜き続けた私。
結果は我々の勝利だが、被害は莫大なものだった。
帰還したときには、もう後ろに誰もいなかった。
それ以来、よくない噂が付きまとい、腫れ物に触るような扱いを受けるようになる。
「下についたものはみんな死ぬ。一人で戦場から帰ってくるから」
あとはそのまま、腕だけが上達して今に至る。
「あの事件以来、私は一人で戦い続けました。腕も磨き、誰かに背中を預けないように」
「……………」
「ですから、この話は無かったことにーー」
「面白い」
「え？」
「その生き方、気に入ったぞ！」
どうだ、一つかけてみないか？
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さとうきび(プロフ) - 怜さん» 返信が遅くなり申し訳ありません。確認したところ特には異常ありませんでした。ご報告ありがとうございました。 (2018年5月18日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 38話非公開になってませんか？ (2018年5月15日 0時) (レス) id: c7556a56f2 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 夜狐さん» コメントを返すのが遅れてすいません。これからもどうぞよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 独奏さん» コメントありがとうございます！返すのが遅れてしまいましたが、これからもよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
夜狐 - 題名と内容が気になって見にきました！自分はこういうお話好きですよ♪次の更新楽しみにしてますね♪ (2017年11月7日 21時) (レス) id: 8cf2fbf423 (このIDを非表示/違反報告)
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