9話 ページ10
「うっ…うーん、それまでは色々理由があるんだけど…」
「元を辿ると少し長くなるけれど、俺達、正確には俺は見知らぬ神に連れ去られてしまった妹を探しているんだ」
それから、空の話を聞いた。
妹を連れ去った神は、おそらくこのテイワットに関係している神であること。
少なくとも、七神ではないこと。
神同士何か繋がりがあるのではと考え、各国の神に会う為に七国を巡る旅をしていること。
その過程で璃月に訪れたら、肝心の岩神が迎仙儀式の最中に亡くなったこと。
璃月の伝統に則り、送仙儀式を手伝うことで亡骸を見ること、調べることができると思って手伝っている。
幸い、伝統に知見のある人を紹介してもらい、その人と準備をしているらしい。
空とパイモンの、ここ数ヶ月間の旅の話が終わったタイミングで、ちょうど頼んだ料理が全て届いた。
二人はご飯に、私はデザートを口にし、少しばかりの沈黙が流れる。
「くぅ〜〜〜!!!これ滅茶苦茶美味しいぞ!!幸せだ〜〜!!!あ、そういえばAは何で璃月にきたんだ?」
『育て親の訃報が届いたんだ、しかも差出人不明で。私とその人は少し特殊だったから関係を知っている人は限られている。だからあまり気にしていなかったけれど、今の君達の話を聞いて少し妙なことに気がついてね』
「妙なこと?」
漠然とした違和感。それは、迎仙儀式の後に送られた手紙にしては届くのが速すぎるというところだ。
手紙を出すとしたら仙人達だと思っていたし、空から聞くまで迎仙儀式に亡くなったとは知らなかった。
しかし手紙を璃月からスメールまで、しかも特定の人物に届けるとなれば少なくとも7日はかかるはずなのに、迎仙儀式から3日ほどで私のところに届いた。
神がいなくなるという非常時に、仙人がわざわざ璃月から離れて私の元に手紙を届けるのは考え難い。それにもし手紙を届けに来るくらいなら口頭で言いに来ればいいのにそれをしなかったということは、手紙は正式に郵送で送られたものだろう。
となれば、予めこうなると知っていた、またはそう予測していたものがいたことになる。
『…まあいいか。明日色々と考えてみることにするよ。妹さんについて何かわかるといいね』
「ありがとう!Aも、何かわかんないけど頑張って」
最後の一口を終え、席を立つ。
この件、簡単にどうこうできる問題ではない。
まずは仙人の彼らに会って、どうするつもりなのか聞かなければ。
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作者名:ぺろりとろろ x他1人 | 作成日時:2023年10月23日 21時