Memento mori. (ページ5)

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4話ページ5

璃月港行きの船に乗りこみ、通された部屋で横になる。
もう暫くすれば出発する。ここまで時間を確認していなかった為意識はしていなかったが、おそらく璃月に着く頃には昼過ぎか、それより遅い時間につくくらいになるだろう。

20年ぶりの故郷、あの神が死んだ璃月は今どんな状況なんだろうか。
もし500年前のマハールッカデヴァタ様とクラクサナリデビ様みたいなことになっていたらどうしよう。いや、あの国には仙人たちがいる。心配は不要だな。

『…璃月についたら……宿を見つけな、いと…』

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キャラクターストーリー 2 解放

Aという人間を語るには、璃月の岩神モラクスも共に語らねばならない。2000年前の魔神戦争が終わりすぐの話。先天性の病に侵され、数千年の間洞窟で残りの生を過ごそうとした女がいた。その女には意中の男が一人もいなかったのにも関わらず、何故か妊娠していたとかの神は語る。これも呪いの副産物だと言うのであれば、あまりにも強力すぎるだろうとも。
せめてこれから生まれる子供に継承されるであろう揺籃の誓いについて、できるだけ情報を残そうと手帳に記し、子供を産んだ母はそのまま衰弱死した。
岩神モラクスは産み落とされたその父親のいない子供の父親に代わり、人間として育てようとした。流れる時間があまりにも遅すぎる赤ん坊を生粋の人間として育てるのはさぞ困難であろう。彼は神なのだから、俗世の価値はわかっていても俗世の全てを知っている訳では無い。岩神モラクスが目指していた｢人間の子に育てる｣というのが出来たのかは未だ誰も知らない。しかし、少なくとも彼女は普通の人間になろうとしている。
女が息を引き取る直前、Aと名付けられた子供が夜泣きをやめるまで約100年かかったという話は、今でも岩神モラクスの酒の肴になっている。