Memento mori. (ページ11)

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10話ページ11

あの後、空達とは別れて宿に戻ってきた。
ベッドに倒れ込み、明日はどうしようかと思考を巡らせる。

ありえない速さで届いた手紙の主があまりに思い当りがなさすぎる。
迎仙儀式類を仕切っているのも、一般人に容疑をかけたり、亡骸を隠したりするのも七星。
それらを考えるなら現時点で1番怪しいのは七星だ。
恐らく仙人たちもそう思ってる。

けど、犯人は七星じゃない。
そもそも神を殺すつもりなら事前に手紙にして送るなんてことしないし、七星には甘雨姉さんがいるのだからもし計画していたとしても今頃止められている。
仙人たちが犯人なんてものは論外だ。

仙人でも七星でもなく、そして私と彼の関係を知っている者。

『ダメだ、いくら考えても思い浮かばない。それに何の目的で手紙なんか送ったんだ…』

とにかく、今のままでは璃月港に仙人たちがきてしまう。
もし万が一犯人ではない誰かを手にかける…なんてことは避けなければならない。
手紙の事は一度置いておくとして、話を聞いてもらいに行こう。

空の話によれば、彼らは集まって話し合っている。
場所は憶測でしかないが、奥蔵山が1番可能性が高い。

モラは勿体無いが、しばらくは宿に戻らず野宿することになるだろう。
翼があるわけでも空を歩けるわけでもないから私は普通に歩かなければいけない。璃月港にも暫く戻れないな。

月が雲に隠れてしまったと認識した次の瞬間、自分の瞼が重くなるのを感じた。
船の時とは違う、明確な深い眠りへの入り口。
月の光がなくなるように、私の意識も落ちていった。

＿＿＿＿＿＿＿

人々が眠った深夜。室内からある方向を見つめている男が一人いた。
風が吹き、草木が揺れる。雲は流れ、隠れていた月は少しづつその形を思い出したかのように表れる。

月に照らされ、黄金色の瞳が輝く。
ガラスのような、それでいて何かが込められているような瞳。

「…早くお前に会いたいものだな。A」

しかし、それは全てが終わった後。