10. 友達の尊敬 ページ10
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「ラブラブなんか、してないし」
「えぇー、ほんと?」
侑梨は、そう言って冗談っぽく笑っていた。ちょうど先生が入ってきたので、授業が始まる。同窓会だ、というタイミングを逃してしまって、侑梨に変な勘違いをされてしまったのかもしれない。
前の店員さんの時もすごかったし。…夏希、何言ってんだよ、って言う顔をしていたから、恥ずかしい。
◇◆
お昼になると、侑梨の元へ一目散に向かう。侑梨も、私の所に来てお弁当を持っていた侑梨は、いつもより早く行動している私に驚いている様子だった。
「どうしたのー? そんなに急いで」
「いや、勘違いされたから困るから。…私は、修弥の事なんか好きじゃないって事」
「えぇ! 好きじゃないの? 残念〜。でも、今まで渡瀬って呼んでたのに…、修弥になってる!」
「あぁ、呼べって言われたんだよね。 友達に笑われるのが嫌〜って」
それに、夏希と私の事をからかってきたし。あんな奴の事、好きになるわけがなかった。
「さっ、食べよ、食べよ!」
暗い雰囲気が分かったのか、侑梨はそう言って笑ってお弁当を手にかけた。侑梨のこういう所は、本当に尊敬する。私は、暗い雰囲気をそのままにしておくぐらいしかできないから。
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作者名:琴乃 | 作成日時:2017年7月17日 23時