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9. 未練ありな彼氏サン ページ9

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「で? なんか話しかけて来たよな、なんだっけ」
「修弥は自分から話を(さえぎ)った挙句(あげく)、本題を忘れる様な人です」


 言いつけてやろうか、と、修弥を睨む。修弥は楽しそうな顔をしている。あぁ、ムカつく。そういう所も、ムカつく。私は、もう一度彼を睨みつけた。


「同窓会、いくの」
「あ…、同窓会といえば、お前の未練タラタラな彼氏サンいるじゃん。ソイツとはどうなったの、今」


 そう言われて、思わずどきっとした。それと同時に、何も言えなくなる。そんな自分が嫌になる。


「どうもなってないし」
「なんで怒ってんだよ」


 何も知らないんでしょ、修弥は。何も知らない修弥に、言われたくない。そう思った私は、冷たい返事をしてしまった。意識しすぎると、そうなるらしい。


「ねぇ、二人して何話してるの〜?」


 私が睨みつけているけれど、修弥は知らんぷり。そんな修弥に、さらに鋭い視線を送ると、侑梨がやってきた。侑梨は何も知らないので、険悪ムードの私達を不思議そうに見ていた。


「ちょっとぉ。実結、何したのー?」
「別に、私は何もしてないし」


 そう言うと、私は修弥の前から去った。修弥は、特に何も思っていなさそうだった。だから、何も言わなくていいと思ったんだ。侑梨は、他の席に着いた瞬間、“ちょっとー、またラブラブして!” と、ニヤリと笑っていた。

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作者名:琴乃 | 作成日時:2017年7月17日 23時

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