【実|況|者】とある実況者の全く身にならない日々。【rtrt.ky】

お隣さん。【rtrt】 ページ12

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　もうすぐで、席替えがある。


　隣の香坂くんを、ちらりと見る。すると、バチッ、と目が合ってしまった。



「……もうすぐだね、席替え」


「本当だ、ちょっと嫌だな」



　香坂くんが、そう言って笑う。その優しい笑顔に、私の心臓はどき、と音を立てた。


　香坂くんと、もっと喋りたい。好きな事とか、好きなものとか、嫌いな食べ物とか、もっと知りたい。



　あと数日でそれがなくなるなんて、嫌だ。


「このままずっと、この席が良い」



　ぼそりとそう呟いた。香坂くんは、「でも席替えは、しなきゃだから」と笑っている。


　それは分かっている。どうせ、席替えする運命だから。だけど、やっぱり離れたくないと思う。


　だって、隣の席っていう繋がりがなかったら、私と香坂くんは話さなかったわけでしょ？


　なら、もし席が離れたら……私と香坂くんは、もう話せなくなってしまう。



「一生の終わり、みたいな顔してる」


「だって、」


「別にさ、一生離れるわけじゃないんだから」



　そう言って、香坂くんは子供をあやす様に、にこりと微笑んだ。



「……そんな顔、しないの」



　その笑みを見て、また、好きだと思った。



　数日後。席替えを終えた私達。


　あんなに絶望していた私だけれど、今は笑顔だ。ちゃんと、笑っている。


　だって。


　また、香坂くんと隣の席になれたんだもん。嬉しいに決まってる。


　顔だって、ニヤケているかもしれない。そんな事を思いながら、隣をちら、と見る。


　すると、あの時みたいに香坂くんと目が合った。香坂くんは私を見て、



「ね？ 一生離れるってわけじゃないの。こうやって、何度だって隣の席になれるの」



　と、笑って言った。

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