桜の風【rtrt】 ページ1
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桜が咲いている、四月。
今日、私は、
恋しているレト先輩と、離れる事になる。
「レト、先輩。」
「Aちゃん。」
もう、朝挨拶する事も、
ふたりで笑い合う事もできなくなるなんて。
とてもじゃないけど、信じられなかった。
「卒業、おめでとうございます。」
「ありがと、Aちゃん。」
友達に、『告白しなよ!』って言われた。
その事を思い出して、告白しようと思い口を開く。
「あの、」
そう一言、声を出すと、レト先輩は「どうしたの?」と不思議そうな顔をこちらに向ける。
その顔を見たら、告白する勇気がなくなってしまって。
「やっぱり、何でもないです…。」
そう、言ってしまった。
今告白しなきゃ、一生後悔する。そう思っている筈なのに。
なぜか、「好きです。」の四文字が言えなかった。
「なんや、言わんと分からんで? それに俺、明日からいなくなるからもう聞かれへんで?」
下を向く私に対して、はは、と苦笑いを浮かべてそう言うレト先輩。
……そっか、もうレト先輩は、ここの生徒じゃなくなるんだよね。
私達よりも、先に。
ここからいなくなるんだよね……。
「……実は、」
「ずっと前から、私……」
言わなきゃ。
絶対後悔する。今しか、言うタイミングはきっとない。
大きく深呼吸をして、告げた。
「……レト先輩の事が、ずっと好きでした。」
そう言った瞬間、周りの音が無くなった様な気がした。
レト先輩は、私を見て驚いた顔をしている。……まぁ、これは想像通りだ。
「えッ、マジで!? 俺の事、」
「……驚きますよね。けど、ずっと好きだったんです、レト先輩の事。」
そう言った時。爽やかな風が、ヒュー、と私達の間を抜けた。
そして、目の前にいたレト先輩がいつの間にか私を抱きしめていて。
「えっ、」
「俺も、好きだよ。Aちゃんの事。」
そう、言った。
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/ 琴乃. Kotono(プロフ) - ねむりかわねごと@じょしさん» コメントありがとうございます!そうですね、神曲ですよねっ! まだまだにわかなんですけれど、もっと実況とかいっぱいみたいなって思います! 応援ありがとうございます!! (2018年1月9日 15時) (レス) id: 06a9187ae1 (このIDを非表示/違反報告)
ねむりかわねごと@じょし(プロフ) - 短編で読みやすく、とても面白いです!全身デイズ、良いですよね!これからも応援してます。 (2018年1月9日 13時) (レス) id: 745cc256e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琴乃 | 作成日時:2018年1月9日 11時