peridot & black spinel (I)

＊ ページ29

_ citrine (yellow side)





「阿部は昔からそーゆー性格だったからねぇ、」


「やっぱそーなんすか、」




居酒屋で飲みながら目黒の相談に乗っている俺。


どうやらあの阿部の拗れた性格に悩んでいるらしい。


昔から “ 人に好かれたい ” というのは変わってなくて


不特定多数の人からの愛情で自分の存在価値を見出す。


それのせいで一時期はどうなる事かと思ったよ。


浮気癖も酷いし、それで自分が分からなくなってるし。


深夜に俺の家に泣きながら来て


“ 俺またやっちゃったよ、照 ”


なんて。あの日の阿部の暗い顔、今でも覚えてる。




「でも阿部は確実に目黒に出会ってから変わったよ

　沢山の男に抱かれなくてもちゃんと自分が分かるようになってる」


「マジすか？それは良かったです。」




確かに阿部は変わった。ほんとに。


目黒と付き合ってからは凄く幸せそうな顔をするようになった。


俺と話しててもたまに惚気けるし、何よりいっぱい笑う。




「そんな深く考えんなよ？

　冗談みたいだけどお仕置とかつって

　今夜めちゃくちゃ激しく抱けばいいじゃん

　そんくらいに考えろ、ふふっ」




目黒が少し小難しい顔をしたからそんなことをいってみた。




「岩本くんふっかさんにそんな事してるんすか？」


「まぁ何回かしたことはあるよ。

　流石にこれは妬くわ〜やりすぎだわ〜って思った時とか。

　引くなよ？ まぁ玩具使ったりもした。」


「お仕置、玩具、なるほど...」


「なに、ちょっと興味持ち始めちゃった？」




まだふらふらしている阿部に釘を刺したい気持ちもあるだろう。


まぁ目黒のことだからお仕置によって


乱れる阿部の姿も見たいだろうし。


目黒は好きな人の見れる限りの姿を見たいって人。




「まだ八時半か、ここから近いから俺ん家くる？

　イイもんあげるよ、目黒に。」


「イイもの、ですか」

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