アイ・オープナー (ページ5)

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Fifth ページ5

「じゃあ早速だけどここに住んでよ」

早速すぎません？

「荷物とかは全部グレイに手伝わせるから心配しないで」

彼はスラスラと話しているが一向に耳に入ってこない。いかんせん急すぎて。

「A聞いてる？」

端正な顔立ちが目の前に現れて、バランスを崩してしまいそうになった時に彼が咄嗟に腕を引いてくれて彼の体に抱き寄せられた。初めて触れた体はがっしりしていて彼の香水がふわっと香ってきた。

「大丈夫？」

『すいません、ありがとうございます』

「顔赤いけど？笑」

『からかうのやめてください！』

ふはっと笑いそっと解放してくれた。案外意地悪なのかもしれない。

彼との同棲？共同生活？が始まった。彼が出張の日以外はほとんど一緒にご飯を食べた。私がたまに作ったりミンギュさんが作ってくれたり。休みの日は一緒に出かけた。
いつも部屋にはミンギュさんが好きなジャズやR&Bが流れていた。私はこの時間がとても好きだった。たまに彼が弾いてくれるピアノも。

付き合ってるとは言わない、だってお互い好きだなんて言ってないから。でも私は確実にミンギュさんに惹かれ始めていた。好きだから触れたい、一緒にいたい。そう思うのは自然なことだろう。でもミンギュさんはどうなんだろう。彼は俺に愛を教えてよって言った。私を好きになるとも俺を好きになってとも言わなかった。

あの時は気づいたら頷いていたけど、改めて考えたらどうすればいいんだろう。一緒に暮らしてご飯を食べたり出かけたりこれでいいのだろうか。何となくこの日からチクチクと私の心を悩ませていた。