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「…えっ!?マジっすか!?」





初めて会った日から彼女のことをネットで調べまくったけど、大学に行っているなんて情報はどこにも書いてなかった。





「私、完璧に変装してて、授業が始まるまでは机に突っ伏して寝てるし、授業が終わったらすぐ帰るので奇跡的にまだバレてないんです。何人かに『五十嵐Aと同姓同名?』って聞かれたくらい」





「マジっすか…」





「永瀬くんと学部も同じらしいです。マネージャーさんが言ってました」





完璧な変装ってどんなんやねん。




いやそれより


同じ大学で同じ学部?



てことは俺が入学した2年前に出会おうと思ったら出会えてたやん。



クソ、なんで気づかへんかったんや!




いやむしろ


今こうやって出会えて同じ大学っていうことが分かった時点で運命ちゃうか?






俺が黙って色んなことを考えていることを気にも留めずに彼女は続ける。





「でも2年生の終わり頃から仕事が忙しくなっちゃって全然行けてないんです。友達もいないし、卒業も危ういかも」





「…もったいないっすよ!俺と学部一緒やったら同じ授業とか取ってるかもしらんし…今時間割とか持ってます?」




「あ、はい」






そう言って、彼女は自分のスマホを取り出し、俺に画面を見せた。





「あ、多分これとこれ、俺も取ってます。俺結構授業行ってるし、ノートコピーしましょか?」





「えっ!?いいんですか!?神様仏様永瀬様!」





「何すかそれ」





ふふふ、と彼女が笑って、俺もつられて笑う。




また新たな一面が見られた気がして嬉しかった。









忘れへんように時間割の画像送ってもらっていいすか?と、自分でも驚くほど自然に連絡先を交換した後、他のメンバーの入り時間が近づいているのに気づき、またあとで、と彼女と別れた。








下心が無かった訳じゃない。





でも、卒業が危うい、と寂しそうに言った彼女の為に何かしてあげたいと思ったのは事実だった。









楽屋に戻ると、既にスタジオ入りしていた海人に、今日のケータリングカレーなの?と聞かれ、右手にずっと持ちすっかり存在を忘れて冷めきったカレーを頬張りながら、ついさっき交換した彼女の連絡先のホーム画面を見てニヤけた頰を、俺は誰にも気づかれないように手で隠した。








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a(プロフ) - コアラさん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年1月21日 17時) (レス) id: e68ce683f6 (このIDを非表示/違反報告)
a(プロフ) - るるるさん» ありがとうございます!嬉しすぎます。。更新頑張りますね! (2019年1月21日 17時) (レス) id: e68ce683f6 (このIDを非表示/違反報告)
コアラ - 続きがとても楽しみです!頑張ってくださいね (2019年1月21日 16時) (レス) id: 4ddbf6bb99 (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - いつも拝見させて頂いております。こんなに面白くてワクワクして続きが気になる作品に初めて出会いました。いつも更新楽しみにしております! (2019年1月16日 15時) (レス) id: e03c1e5a40 (このIDを非表示/違反報告)
a(プロフ) - 叶恋さん» わー!嬉しすぎて泣きそうです!ありがとうございます!頑張りますね。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: e68ce683f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:a | 作成日時:2018年9月11日 23時

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