ホワイトローズの咲く手前 (ページ10)

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The End. ページ10

締め切ったはずの窓から隙間風が入ってきて少し身震いした。

カーテンから漏れ出た光は、荒れに荒れた部屋を少しだけ照らす。
転がったビール缶。乱雑に置かれた雑誌。捨てるのが億劫でそのままになったコンビニ弁当。
その他にも荒れたところを挙げていけばキリがないが、それを片付ける気には到底なれなかった。

もともと、生活能力が特別あるわけでもなかったが、ここまで部屋が荒れたのも初めてだ。
それは認識しているものの、片づける必要性も感じなかった。
ここには俺しか住んでいないし、訪ねてこようとする物好きもいない。

一週間ぶりの休日だというのに目を覚ました時間は、短い針が一番上を通り過ぎたところで、寝すぎたとは思うものの起き上がることもせず、そのままの状態で一時間は軽く過ぎようとしたところだった。

何をするでもなく、ただただ時間が過ぎるのを怠惰に待っているだけの俺に、どんな存在する意味があるというのだろうか。

天上を見続ける頭の奥に浮かぶのは、彼女がいなくなってから一ヶ月、俺をずっと悩ませ続けた疑問だが、そんなことを考えたところで答えが出るはずもなく、俺はまた、彼女が得られなかった一日を無駄にしようとしているのだった。

眠気を感じて、布団にもぐる。

ただ寝転んでいれば、眠くなってくるのは当然といえるのかもしれない。
あんなに寝たというのに気づけば瞼が落ちてきて、また見たくもない夢を見せられるのだ。
何度も何度も、繰り返し。

彼女に出会ってからの俺の人生と、それが崩れるまで。

それは、影のように俺に付きまとう。
映画とは違って、上映中に立ち上がることもできない。

影に「ついてくるな」と言ったって消えることがないように、その夢を見たくないからと言って、見ることを止めることはできないのだ。

変えることができればまだ救いはあるのに、それすらもさせてくれないのだからつくづくどうにもならない世界だ。