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別れることを約束したけれど、必ずしも別れると決まったわけではない。

 あたしの頭脳だ。
 あんなカッコつけたことを言っておいて、落ちる可能性だって大いに有り得る。

 今のところ、合格圏内ではあるけれど。



 今日は久々に、二口とデートだった。
 あたしの勉強の息抜きと、二口の部活お疲れ様会で、ご飯デート。

 二口は最後の春高に行くことは出来なかった。
 少し悔いは残るけど、すべきことは果たした、って。


 あの約束があるとしても、今付き合っていることに違いはないから。

 もし別れることになったとしても、それまで全力でカレカノして楽しもう。って
 それも、約束した。


 久々に二人でゆっくりして、沢山笑って。楽しかった。

 家に帰る時に、何故か二口もついて来た。
 あたしの勉強を見てみたいらしい。

 ……別に、構いはしないけど。


「……お前、ホントに受験生なんだな」

「今更何言ってんの」


 一応お茶を出した。

 お茶よりも、あたしの参考書の方が興味があるようで。


「全然わかんねーわ。これで下の方の大学だろ?」

「うん」

「工業高で良かったわ」


 しばらく参考書を眺めていた二口が、それを置いた。

 あたしの隣に座って、もたれてくる。
 重いから止めていただきたい。


「なあ」

「んー?」

「オレ、今から最低なこと言っていい?」

「うん」


 あたしの肩に顔を埋めて、ちょっと弱々しい声で言った。


「正直オレ、Aが大学落ちればいいと思ってる」

「……ホントさいってー」

「……だろ?」


 二口の髪を撫でた。


 ごめんね。は言うべきじゃない。

 間違ったことはしてないから。
 こうなってるのは、あたしが原因だけれど。

 夢の為に、将来の為にしていることだから、間違ってなんかいない。


 恋人と夢を天秤にかけるべきではない。

 どっちが大切かなんて、量れるものじゃないから。
 量るべきじゃない。


 夢を諦めて、二口といることを選んでいればこんなことにはなっていなかったんだろうけど。


 進学を選んだことに、後悔は一切ない。

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作者名:灯彗 x他6人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年1月2日 15時

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