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あれから三日。
 電話は無視。LINEは未読スルー。

 ……ここまで怒らせたのは、初めてかもしれない。

 ちょっと言い方がアレだったかな、とは思う。
 あたしだって、急にあんなこと言われたら怒るだろうし。


 流石にこれ以上放っておくわけにはいかないと、直接家に行くことにした。

 二口のお母さんなら、引っ張り出してくれるだろう。
 居留守なんて使わせない人だろうし。


 インターホンを鳴らすと、二口のお母さんが出て来た。

 あたしを見て、少しびっくりした顔をする。


「Aちゃん、夜にわざわざどうしたの?」

「あの、二口呼んでもらってもいいですか?」

「ちょっと待っててね。上がってく?」

「いえ、ちょっと外出たいので」


 部屋まで突撃しようかなとか一瞬考えたけど。
 やっぱり外で話したいし、上がるのは断った。

 しばらく玄関で待っていると、不機嫌そうな二口が現れた。


「話したいことあるから。外、行こ」

「……ん」


 それだけ返事をして、家を出て、一緒に歩く。
 
 場所は近所の公園でいい。
 ちょっと暑いかもだけど、まあ。


「この前は、ごめん。急にあんな言い方したあたしが悪かった」

「……」

「遠恋が上手くいかないって、ちゃんと考えた上で思ったことなの。
 適当に思ったとか、そういうんじゃなくて真面目に考えたから。

 そこ、説明してなかったよね。ごめん」


 思い返せば、ちゃんと思った理由を説明してなかった。

 突然「卒業したら別れよう」なんて。
 唐突過ぎる。


「オレも考えてみた。離れて、Aと付き合ってるとこ。
 確かに、上手くいくわけはねえよ」

「……でしょ?」

「上手くいくわけねえけど、それでもオレは別れたくはないし。別れねえと思う。
 好きなのに別れるとか、有り得ねえだろ」


 二口の考えは分かる。
 あたしだって、最初はそうだった。けど


「あたし、二口がバレーばっかりでも文句言わないのは、ちゃんと会えてるし話せてるからだから。
 今みたいなコミュニケーションなくなったら、耐えられない。
 絶対二口に文句言って、喧嘩する」

「ちゃんと仲直りすればいいんじゃねーの?」

「簡単に会えないのに、そんなすぐに出来るはずないの、二口だって分かってるでしょ?」

「……」

「これって、好きなだけじゃ上手くいかないんだよ」


 その日、二口はあたしの考えに納得した。

 そして、あたしが大学に合格すれば別れることを約束した。

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作者名:灯彗 x他6人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年1月2日 15時

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