… ページ28
それから、距離が開くのは早かった。この前までバカみたいな会話を交わしたあの日々に戻りたくて、何度も泣いた。朝、部屋の窓から彼のロードワークに励む姿を見るのが辛かった。ストーカーの如く、時々だけど、彼の地面を蹴る音で起きてしまう。そして、知らず知らずのうちに窓へと駆け寄って居た。…今も、これからも、変わらない。この気持ちが変わることはない。
雪が降るある日から、彼の姿を見ることは無くなった。さすがに受験勉強に没頭しなければいけない時期だから仕方ないのかな、そう割り切って私も勉強を進めた。過去問を時間を計って、解いて、書き込んで、丸つけとやり直しをして___その繰り返しと焦燥に早まる手に忙殺されたのか、彼の事はすこし紛らわすことが出来た。
そんな冬のとある日に、彼が唐突に家に訪ねて来たのだ。会いたくない、会えない。そんな葛藤の中、私は玄関を抜けた。ここで出ても出ていなくても、きっと未来が変わる事は無い。絶望にも似た気持ちで、彼と目を合わせた。
だめだ。こんなの、無理だ。
そんなの、辛いよ。なんで、なんで平気な顔してられるの。嫌いなんじゃないの。
なに、かんがえてるの。見えないよ、影山。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:灯彗 x他6人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月2日 15時