検索窓
今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:5,657 hit

ページ28

それから、距離が開くのは早かった。この前までバカみたいな会話を交わしたあの日々に戻りたくて、何度も泣いた。朝、部屋の窓から彼のロードワークに励む姿を見るのが辛かった。ストーカーの如く、時々だけど、彼の地面を蹴る音で起きてしまう。そして、知らず知らずのうちに窓へと駆け寄って居た。…今も、これからも、変わらない。この気持ちが変わることはない。

雪が降るある日から、彼の姿を見ることは無くなった。さすがに受験勉強に没頭しなければいけない時期だから仕方ないのかな、そう割り切って私も勉強を進めた。過去問を時間を計って、解いて、書き込んで、丸つけとやり直しをして___その繰り返しと焦燥に早まる手に忙殺されたのか、彼の事はすこし紛らわすことが出来た。

そんな冬のとある日に、彼が唐突に家に訪ねて来たのだ。会いたくない、会えない。そんな葛藤の中、私は玄関を抜けた。ここで出ても出ていなくても、きっと未来が変わる事は無い。絶望にも似た気持ちで、彼と目を合わせた。

だめだ。こんなの、無理だ。
そんなの、辛いよ。なんで、なんで平気な顔してられるの。嫌いなんじゃないの。

なに、かんがえてるの。見えないよ、影山。

…→←影山【みぞれが雪に、雪から芽吹き】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.2/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:灯彗 x他6人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年1月2日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。