白布【二文字の先に】 ページ22
自分の失恋を知ったのは自分の気持ちに気づいてからほんの数週間後のことだった。
「ねーねーけんじろー」
部活の休憩時間、俺にタオルトドリンクを渡すといつものような調子で構ってくるのは3年のA先輩。
たまに何考えてるかわからなくて、でもやる時はやる、そんな先輩だった。
そんな先輩に俺は恋、というものをしていたんだと思う。
自信を持ってイエスとはいないけれどそんな感じがした。
「…どうしたんですか、A先輩。
顔、赤いですよ。」
熱でもあるんじゃないですか?そういって額に手をあてようとしたら全力で振り払われた。
「違うの!そうじゃなくて……英太君って好きな人とかいるのかなって、本人に直接聞けなくて…けんじろーなら知ってるかなって思って…」
頬を染めながらそう話す先輩の心の奥底に眠る気持ちに嫌でも気づいてしまった。
先輩は、瀬見さんが好きなんだなって。
俺は、バレーでも恋愛でもあの人に勝てないのか。
そう思うとまた一歩、瀬見さんの背中が遠のいていった気がした。
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作者名:灯彗 x他6人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月2日 15時