第190話 ページ41
…それは “必殺技”と言っても、“必ず殺す技”ではない。
ターゲットが隙の無い手練で、“暗殺”から“戦闘”へ引きずり込まれそうになったとき、
“必ず殺せる”理想的状況を造り出す技。
戦闘の常識から外れた行動を取る事で、場を再び“戦闘”から“暗殺”へと引き戻す、
“必ず殺すための技”。
相撲で用いられる“猫だまし”と同じ原理。
敵の意識を一瞬だけ真っ白にして隙を作る。
負けたら即死の殺し合いの場は、
恐怖と緊張が相撲の比ではない。
極限まで過敏になった神経を、音の爆弾で破壊する。
……やることは簡単。
タイミングはナイフの間合いのわずかに外。
ナイフを空中に置くように捨て、
体の中心で片手を真っすぐ敵に向け、
その腹にもう片方の手をピッタリ当て、
音の塊を発射する感覚で手を叩く。
ノーモーションから、
最速で、
最も遠くで、
最大の音量が鳴るように。
……その瞬間、辺りには乾いた一発の柏手が鳴り響いた。
数瞬、鷹岡先生が自由な身動きを取れなくなる。
暗殺者は、その数瞬を逃さない。
流れるように、2本目の刃を
抜くが早いか。
僕は鷹岡先生の脇下にスタンガンで電流を流した。
鷹岡先生は、その場に座り込むようになだれ落ちた。
寺「…とどめ刺せ、渚。
首あたりにたっぷり流しゃ、気絶する」
それを聞いた僕は、スタンガンの先端で鷹岡先生の顎をグイと持ち上げた。
……殺意を教わった。
抱いちゃいけない種類の殺意があるって事。
その殺意から引き戻してくれる友達の大事さも。
殴られる痛みを。
実戦の恐怖を。
ひどい事をした人だけど、それとは別に、
授業への感謝はちゃんと言わなきゃいけないと思った。
感謝を伝えるなら“そういう顔”をすべきだと思ったから、
渚「…鷹岡先生、
ありがとうございました」
僕は笑って、電流を流した。
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卵符鈴 - 緑川詩織さん» コメントありがとうございます！浅野くんの書きにくい人柄にいつも悩まされているので、そう言っていただけると嬉しいです！更新頑張ります！ (2017年11月20日 0時) (
レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
緑川詩織 - 浅野くんがイケメン過ぎてツラい！更新頑張ってください！o(･ω･´o)(o｀･ω･)o (2017年11月19日 22時) (レス) id: d308f73366 (このIDを非表示/違反報告)
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