第164話 ページ15
学秀サイド
母さんから、“水道が直ったから帰ってくるように”と連絡があった。
特に何も考えず、僕は建物を出た。
なんとなく空を見上げ、大きくため息を吐く。
所々、ポツポツと星が小さく光っていた。
いつもの目線に戻す途中、さっき見上げたときには見えなかったはずのものが見えた気がして、僕は目を見開いた。
学「…赤羽、さん…？」
雅「……浅野くん……」
どうして、ここに。
雅「えっ…と、帰ろうとしたんだけど、牛乳瓶、置きっぱなしにしてたことに気付いて…」
理由を尋ねたわけでもないのに、赤羽さんは言い訳のように早口で言った。
学「ああ…。それなら僕が片付けておいたよ」
雅「…あ、ありがとう……」
彼女は風に髪を揺られながら苦笑した。
学「…どういたしまして。
…そんなことのためにわざわざ戻ってきたの？」
そんなことはないだろう。
彼女は表情を曇らせ、視線を落とした。
雅「…家に帰りたくない って、思っちゃって」
“子供みたいだよね”。
そう呟く彼女は、寂しげだった。
兄弟や姉妹がおらず一人っ子の僕に、彼女が感じているような寂しさはよくわからない。
彼女は僕に何を望んでいるのだろうか。
もはや、何も望んでいないのかもしれない。
だけど僕には、このまま見過ごすなんてできなかった。
学「…大丈夫。
赤羽さんは、一人じゃないよ」
…できることなら抱き締めたい。
そう、心のどこかで思ってしまう。
しかし、今の僕にそんなことはできない。
する資格がない。
だから、こんな言葉をかけるのが、僕の精一杯だった。
それしかできない自分が、悔しかった。
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卵符鈴 - 緑川詩織さん» コメントありがとうございます！浅野くんの書きにくい人柄にいつも悩まされているので、そう言っていただけると嬉しいです！更新頑張ります！ (2017年11月20日 0時) (
レス) id: 73c1b71496 (このIDを非表示/違反報告)
緑川詩織 - 浅野くんがイケメン過ぎてツラい！更新頑張ってください！o(･ω･´o)(o｀･ω･)o (2017年11月19日 22時) (レス) id: d308f73366 (このIDを非表示/違反報告)
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