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クザンside
あの子が来てから1ヶ月程たったある日の夜
あの子の気配じゃない誰かの気配を感じて
あの子の部屋を尋ねた
窓から差し込む月明かり
外を見るその人に声をかけようとした
｢shh......静かにクザン。｣
人差し指を口元にやりこちらを見た彼女
シャッ....と音を立ててカーテンを引いて彼女は暗闇の中ベッドに向かう
｢Aちゃん？｣
｢今は貴方の知っているシルヴィア・Aじゃない。和泉守と呼んで？あの子は眠ってる。深い深い海の底。｣
和泉守と名乗るその子
Aちゃんじゃない？
｢イズミノカミちゃん....君は何者？｣
｢この世界に来る前のシルヴィアよ。元の世界で死んだのよ。生きてるのが不思議。前世....って言っていいのか分からないけれど。元の世界の記憶をいくつか持って無いのがシルヴィアなの。つまり記憶が完璧な状態じゃ無いのよ。私は元の世界の記憶だけ。｣
｢じゃぁ、なんで俺の事｣
｢答えは簡単。ここが元の世界では漫画の世界だから。ONE PIECEというの。私、変えたいところがある。だからそれの情報毎晩提供してる。シルヴィアは夢とでも思ってるんじゃない？｣
真っ暗な闇に真っ黒の髪は溶けて見えない
見えるのは時折カーテンから差し込む月明かりに反射して輝く紺青の瞳
｢嗚呼....そろそろ私が寝ないと明日のこの身体に支障が出るかしら。それで、クザンは何か御用で？｣
｢いや....知らない気配を感じて来ただけ。｣
ベッドから立ち上がり近づいて俺の手を握った
｢私ね。ごめんなさい。嗚呼....部屋から連れ出すから動かないで。闇の中を歩くから私の手を離さないでね｣
｢あぁ....君は消えそうだね｣
すぐに消えそうなその人
いつもの彼女とは違う深み闇を含んだ瞳
｢私は....消えるわよ。ここから。近いうちにね｣
扉の前で止まるその子は幼い子供の雰囲気の彼女
｢今日は色んな顔を見せるね？｣
｢フフッ....どうだか。私の事は秘密よクザン。おやすみいい夢を｣
トンっと俺の背を押して部屋から追い出した彼女は
寂しそうだった
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作者名：零華 | 作成日時：2018年1月24日 22時
