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遅番の日、出勤すると
フロアは慌ただしい雰囲気に包まれていた。


「どうしたんですか?」

「ビョン議員の息子、大変だったみたい。」

「え?」

「議員が来たらしいんだけど、大暴れ!
4人がかりでやっと止めたみたいよ。
今は薬で眠ってる」





病室のドアを開けると、
ベクヒョンくんはこちらに背を向けて寝ていた。


きっと薬が強かったんだろうな…

私は眠る彼の頭を軽く撫でた。


「Aさん?」

突然の声に慌てて手を引っ込める。


「起きてたの?」

「んー、今さっき。
体だるくて動けないし、今顔見られたくないかも」

「どうして?」

「どうせ聞いたんだろうけど、
親父が来て殴り合いになっちゃって、顔ひでーの」

「そっか。じゃあ今日はゆっくりしてね」


そう言って背を向けると、


「俺の赤を奪おうとしたんだ、あいつ」

静かな声で彼はつぶやいた。


「どういうこと?」

「Aさんがくれた口紅を捨てようとした」

「…そうだったんだ」

「殺してやろうかと思った」

「やめてよ、口紅くらいまたあげるから」

「そういう問題じゃない!」


これまで背を向けていたベクヒョンくんが
勢いよく起き上がってこちらを向いた。

頰は腫れ上がって、口の端は切れている。


そして数秒の沈黙の後、彼はぽつりと言った。


「…Aさん」

「ん?」

「あれだけ言ったのに、今日赤じゃないんだ」

「……え、」


あれからちゃんと口紅は赤を塗っている。

もしかして、もう赤も見えてな…

「なーんてね。びっくりした?」


ベクヒョンくんは腫れた頰を
持ち上げるように笑っていた。


「…やめてよ。びっくりした」

「ごめんね、怒鳴っちゃって。
てか笑うと口痛いなー」


やっぱり読めない。
どうしても怖いと思ってしまう。

しかし感情の起伏が大きいのは、
ストレスがたまっている証拠…


「ベクヒョンくん、
気分転換にどっか行きたいとこある?」

「外出れるの?俺」

「しばらく何も起こさなかったら、頼んでみる」


そう答えると、
彼はしばらく黙って何かを考えた後、

「隣の町の展望台」

と答えた。


「めちゃくちゃ綺麗な夕日が見えるとこ」

「夕日…か」


「オレンジ通り越した真っ赤な夕日」



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設定タグ:EXO , エクソ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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ゆう(プロフ) - とってもキュンキュンしました!どの作品も大好きです!(;_;)マイペースにまたお話の更新待ってます^_^ (2018年1月15日 23時) (レス) id: 08fbd2dc26 (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - 可愛らしい、べくとのお話とジョンイニズムスピンオフ。こんなにも違うものが両方面白いって。凄い。 (2017年1月16日 14時) (レス) id: c8ddff6bd6 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - ジョンイニズムとても衝撃的な作品で今でもふと考える事があります。スピンオフありがとうございました! (2017年1月15日 15時) (レス) id: 61651178cb (このIDを非表示/違反報告)
kou(プロフ) - ジョンイニズム一気読みしてしまいました、、なんか色々と衝撃すぎて語彙力のない私には上手く感想が伝えきれないんですがすごくおもしろかったです、、 (2017年1月15日 2時) (レス) id: bd7f07117d (このIDを非表示/違反報告)
みの(プロフ) - ジョンイニズムのスピンオフ(TT)嬉しすぎます、ほんとに、、!!ほんとにありがとうございます(TT)国家試験頑張れます(TT)何度も言ってますが 笑 ぺっぱーさんの書くジョンインが1番好きです(TT)ありがとうございます(TT) (2017年1月15日 0時) (レス) id: cc979909b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺっぱー | 作成日時:2017年1月7日 18時

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