恋煩い

B53｜射手座の君 恋の予感 ページ17

｢いらっしゃいませー｣






このカフェで働き始めて、早数ヶ月が経った。





お昼のピーク時を過ぎたこの時間帯は、少しづつお客さんの波が落ち着いてくる。







｢こんにちは！｣




｢翔くん！久しぶりだね。｣





ドアが開く音に顔を上げると、久しぶりに見る常連さんの姿があった。






｢テストとかで忙しくって、、｣






眉を下げながらカウンター席に座る男の子。




近くの大学に通っている翔くん。




昼休みの合間を縫って、ほぼ毎日顔を出してくれている。






｢今日は絶対行くって決めてたんだ。｣





翔くんの大好きなミルクティーを作りながら、彼の話に耳を傾ける。






｢何かあるの？｣






ミルクティーが割引になる日じゃないよね。



カレンダーをチラッと見る。






｢今日、俺の誕生日なんだよ。｣






頬杖をつき、口角を上げて言う翔くん。






｢えっ、早く言ってよ〜！｣




「プレゼント用意したのに、、」




｢あ、Aさんから貰うプレゼント、もう決まってるから大丈夫。｣






翔くんは、先程渡したレシートを私に差し出す。






｢Aさんの連絡先、俺にちょうだい？｣






首をこてん、と傾ける翔くん。






｢、、そんなのでいいの？｣






サラサラとボールペンで連絡先を書きながら、｢お店のケーキでも奢ろうか？｣と提案してみる。





すると、翔くんは私の手を握り






｢会えないの寂しかったから。｣






｢俺にとってはコレが1番のプレゼント！｣






レシートを片手でヒラヒラと揺らす翔くんに、思わず心臓が揺れた。

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