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みるみる内に目が冴えて、現実と分かると思わず悲鳴のような声が出た。
「ひゃああ、」
その声のあまりのボリュームに隣で気持ちよさそうに眠るその人も眉を顰めてゆっくりと瞼を開け、横になったまま大きく伸びをしている。
ハッとしてすぐに自分の衣服を確認するも、乱れはない。
「ん……おはよう」
「おはようじゃないよ、なんで隣で寝てるの…ジミン」
「んー、覚えてない」
「心臓止まるかと思った…」
「明け方まで飲んでて、部屋間違えたかな…ごめん」
ゆっくりとした喋り方でそう言うともうちょっと寝かせてとジミンは布団の中へと潜って行ってしまった。
なんなの、…もう。
明け方まで飲んでいた奴が布団に入って来ても寝てる自分が怖くなった。何もなくて良かったけど、そういう問題じゃない…
眉間にシワを寄せしんどそうに眠る彼を起こしてしまわぬよう、そっと体をベッドから引き抜き広い寝室から出た。
「うわ、何…宮殿?」
こんなお洒落な所に泊まってたんだ…
吹き抜けの高い天井、真っ白な床にふわふわの絨毯。
5人は座れそうな大きなソファが2つも並ぶリビングからとんでもなく広い庭に繋がる大きなベランダも完備されてる。
アイランドキッチンだし、家電もいちいちデカい。テレビも冷蔵庫も…
テーブルに散乱したままの缶や瓶を片付けながら部屋を眺めた。
宿泊先は大きな一軒家のようだった。窓を開けて、目の前に広がる広大な芝とその先の山林をぼうっと眺めて澄んだ空気を肺いっぱいに入れる。
「お部屋探索してみよ」
独り言を呟いた後、目についた順に扉を開けて回る。一階に洗面所、お風呂、トイレ、パントリー。もう一つの部屋は自分が寝ていた部屋
階段を上がって、3つの扉をそれぞれ確認すると二階には誰も居ない寝室、防音設備が整ったスクリーンのある部屋に、最後は客間というかここも寝室になっていた。
最後の部屋を開けて、すぐに目に入ってくるキングサイズのベッドに並んで眠る馬鹿2人。
…何で一緒に寝てるの。
音を出さないように静かに扉を閉めて、一階に戻ると自分の寝ていた部屋に行き鞄から着替えと歯ブラシを調達して洗面所へ向かった。
万が一に備えてしっかりと内鍵を閉めた事を確認してから服を脱ぎ、シャワーを浴びた。
昨日の晩の記憶が曖昧だけど、たしか私ジョングクに運んでもらったんだっけ。
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作者名:芍薬 | 作成日時:2022年3月31日 12時