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「次のインターで下りていいんですよね」
ジョングクがジミンに確認を入れて、ジミンはカーナビを操作した後問いかけに答える。
「うん、そうみたい」
「1時までには到着出来るかな」
「少しお酒買い足しておくか、コンビニあったら寄って」
「はーい」
私は2人の会話をそわそわしながら聞いてた。
後ろの席の私たちには特に会話はない。
テヒョンのせいで体温が上がったからか脳が考えるのを放棄したからか言い訳は色々と並べたい。だって私、あろう事かこの状況でうたた寝をしたから。
「…ナ、ヌナ」
ジョングクの声で目が覚めると、車はすでに宿舎に到着した後だった。
私が座っている後部座席側のドアの外側から身を乗り出すようにして、ジョングクが起こしに来てくれた。
「眠いね、起こしてごめんねヌナ」
額の上あたりを何度か撫でられて、前髪が目に掛かるとまた重たい瞼が自然と落ちてくる。
ジョングクは私のシートベルトを外し、顔を覗き込んできた。
睡魔に必死に抗うも、体に力が入らない。閉じ掛けの瞳にジョングクのまん丸とした目が映る。
「ヌナ、抱っこするけどいい？」
働かない頭でうん、と頷いてジョングクに体を預けたまま目を閉じた。彼は私を引き寄せ車から下ろすと軽々と抱き上げ子供をあやすみたいに背中をとんとんと叩いた。
薄れゆく意識の中で、お姫様抱っこじゃなくいわゆる対面のだっこスタイルがジョングクらしいと思った。
ジョングクの首に腕を回して、頭をもたげた。あったかくて、余計に眠たくなる。
「あれ、起きなかった？」
暗い場所から明るい所に来ると、ジミンの声がした。多分、宿舎の中に入ったんだ。
ジョングクは私を抱えたまま、下ろす事なくソファに座って声のボリュームを抑えてジミンに返事をする。
「ヒョン、俺今日死んじゃうかも。幸せで」
「…早く下ろせよ」
「横にしたら起きちゃうかも」
「赤ちゃんじゃないんだから」
ジョングクは私をぎゅっと抱き締めて首元にすりすりと顔を寄せる。
私の意識はそこで完全に途絶えて、次に目が覚めた時は大きなベッドに横になってた。
真っ白な部屋に、レースカーテンから差し込んでくる光が眩しくて布団に少し潜った後寝返りを打ち窓から顔を背けた。
「…へ？」
寝ぼけ眼で目に入ったそれが、夢が現実か分からず一瞬思考が停止した。
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作者名：芍薬
| 作成日時：2022年3月31日 12時
