115 ページ15
言い合いをしてる私たちを置いて、テヒョンとジミンは先に売店へと歩いて行き、少し距離が出来るとジョングクが私に顔を寄せて耳打ちしてくる。
「ヌナと間接チューだ」
「…そこそこ気持ち悪いよ、その言い方」
「ふふ、だよね。自分でも思う」
笑いながらそう言って、売店へと入って行った。
腹拵えを済ませて、これからの予定について話し合いが始まった。
「夕飯は軽くでいいよね」
「帰りに食材とお酒買って行きます？」
「昨日大体飲んじゃったしね」
「あと1時間くらいしたら出るか、ジョングガ乗りたいのある？」
「観覧車は？」
観覧車、と聞いてテヒョンが明らかに嫌な顔をする。
「俺はパス」
テヒョンがそう言うと、ジミンがすかさず高所恐怖症だもんねと付け足す。それにしては他にも高い乗り物乗ってたけどね。
「僕もテヒョンアと待ってるから行って来なよ」
「ヌナは乗れる？観覧車」
「うん、大丈夫」
「じゃあ俺とヌナで観覧車デートしてきます」
高らかに宣言する3号。
乗り終えたらパークの入り口で待ち合わせする約束をして、ジョングクと観覧車へ向かった。
ご飯を食べたばかりなのにワゴンでチュロスを買うジョングクの食欲に驚く。
「ヌナも食べる？」
「ううん、要らない。よく入るね」
「まだ全然食べれるよ俺」
「美味しそうに食べること」
「よく言われます」
1周15分の観覧車にジョングクと向かい合わせで座って、ゆっくりと上昇して行く。
ちょうど夕陽が傾き始めて、景色がすごく綺麗に見える時間帯だった。
「ヌナ、そっち行っていい？」
「傾くからやだよ」
「…せっかく2人になれたのに。くっつきたいです」
唇を尖らせてジョングクは私を見つめる。
「あ、ちょっと！揺れるってば」
私の意見などもちろん無視して、隣に座り直してくるから観覧車はゆらりと揺れる。
「ふふ、やっぱ観覧車は隣が良い」
じゃないと手繋げないでしょ、と続けて私の左手にそっと触れて指を絡めてくる。
抵抗しても離してはくれないから、黙って景色に目線を逃した。
「ヌナ、こっち見て」
「なんでよ…観覧車って景色を楽しむものでしょ」
「景色よりヌナの顔見てたい」
「もう、ジョングク…先輩を困らせないで」
「照れてる？」
「本当うるさい」
「あー可愛い。はあ、このままずっと乗ってたい」
私は今すぐ降りたいですけど、と心の中で呟いてみる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 343人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芍薬
| 作成日時：2022年3月31日 12時
