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朝ごはんを食べ終えて、各々が支度を始める。
洗面所を独占して髭を剃るテヒョン。2階からは、音楽を大音量で再生して熱唱するジョングクの声が聞こえるし、天井がドンドコしてるこれはきっとジミンが踊ってる。
私はワンピースを頭から被って、髪をひとつに縛るだけで支度を終えて朝食の後片付け。
「ねえ」
袖を捲って、スポンジに洗剤を出しお皿やコップを洗っていると後ろからやって来たテヒョンに呼ばれた。
「んー、何？」
「それ以外に服持ってきた？」
「うん。持って来てるけど」
「じゃあ着替えて」
「え？」
「…その服、やだ」
何を言われてるのか理解できず、私はしばらく固まる。
「ちょっと…テヒョン、失礼過ぎない？」
「変って言ってんじゃなくて嫌なんだよ」
だんだんと落ちてきた服の袖を捲り上げて、私の手についた泡を綺麗に流してくれた後、テヒョンは水道を止める。
「スカート短い、丈が」
「は？」
「だからスカートの丈が」
「いやそれは分かったけど、なんでテヒョンにそんな事言われなきゃいけないの」
「なんでも」
ほら早く着替えて来て、と流し台から追い出されるも納得行かない私はテヒョンの背中をしばらく睨みつけた。
「あ、パンツね。スカート禁止」
ドスドス足音をわざと立てて寝室へと戻り扉を閉める。
あー、腹立つ！どうしてテヒョンの言う事をきかないとならないの。私はあなたの特別じゃないのに。
心の中でそう叫ぶと、ふいに昨日テヒョンの部屋で見たくしゃくしゃのメモ紙とハイヒールを思い出して気持ちが沈んだ。
パーカーとジーンズに着替えて、姿見に映る自分に何やってんだろと独り言を呟いた。
「ヌナー、準備出来ました？」
扉をコンコンとノックされて、ジョングクの声が聞こえた。ヘアゴムを口に咥え髪を結い直しながら扉を開けると準備万端の様子で彼は立っていた。
「ヒョン達は先に車に乗ってます」
「うん、行こうか」
「あ…ヌナ、さっきはヌナのせいとか言ってごめん」
「ジョングク、もう一生のお願い使えないからね。忘れないで」
「…え、俺そんな事言ってたっけ？」
おどけてそう言い、へらへら笑う男の肩をバシッと叩くと逃げるように玄関に駆けて行った。
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作者名：芍薬
| 作成日時：2022年3月31日 12時
