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「アミちゃん、おはよう」
「あれ？ホソクさんだ。今日ホビママじゃないんですね」
「今日から普段の格好でお店に出る事にしたけど、そんな事よりアミちゃん。何その荷物…家出？」
「この前言ってた旅行、あれ今日の夜出発なの」
「ああ、言ってたね。旅行…家出かと思った」
「旅行なんです！」
奥の部屋に荷物を置いて、開店準備を始めた。看板を外に出すとすぐに2人組のサラリーマンが入店して、ホソクさんが笑顔で接客する。
私もカウンターに入って、おしぼりを用意して飲み物の注文を受ける。
その後も金曜の夜らしくお客さんは何人か入った。
9時を回って、今日はユンギさんが来ていない事に気付いた。
「ホソクさん、今日ユンギさん来ないね」
「そうなんだよね。何かあったのかな、心配だから電話してきて良い？」
「今お客さんも居ないですし、大丈夫」
2人は本当に仲が良いんだな、とほっこりした気持ちでカウンターに寄りかかる。
すぐに奥の部屋からホソクさんが慌てて出てきた、青い顔して。
「ユンギヒョン、高熱で一歩も歩けないらしい」
「え？大丈夫なんですか」
「電話じゃ大丈夫って言ってたけどかなりしんどそうだったな」
「一人暮らしですよね」
「アミちゃん、悪いんだけど今日はもうお店閉めていい？」
驚いた。成人男性の風邪の看病したくてお店を閉めるなんて、どれだけユンギさんの事好きなんだろう。いくら心配とは言え…
「僕飲み物とかお粥とか買ってくるから閉店作業お願いしていいかな」
「はい、それは全然」
「じゃあごめん、一旦出てくる」
バタバタとホソクさんはお店を出て行った。
あ、迎えに来てくれるの12時って約束しちゃってたな。どうしよう、あと3時間もある。
看板を中に入れて、扉にclosedの文字を下げて街灯の電気を落とした後、テヒョンに電話した。
「あ…もしもし」
「ん、どした」
「テヒョン今どこ？」
「家。何、なんかあった？」
「それが…バイトもう終わった」
「は？なんで、早くない？」
「ちょっと色々あってもう上がりなんだけどどうしよう」
「今風呂入っててすぐ出れないんだけど、俺の部屋来れる？」
「あ…やっぱり一回家に帰るよ」
「俺ん家の方が近いでしょ、夜逃げ鞄重いんだからこっちのが効率的だよ」
「でも」
「10分で上がるから、向かってて」
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作者名：芍薬
| 作成日時：2022年3月31日 12時
