Into you 【JK】

14 ページ14

家中が揺れるくらい、どたどたと足音を響かせながらAは部屋を出て行った。


「なんだよ、素直じゃないな」


おいコラ。どの口が、どの口言ってんだ。
自分1人しか居ない空間でカッコつけてロクでもないこと呟くなよジョングク。
どう考えたってデリカシーがない俺が悪いだろうが。誰か飲むだけでデリカシーが摂取できるサプリ知りませんか、本当に。親の顔が見てみたいってもんだよな。


「あんた、やっぱり喧嘩したんだ？」


いい、いいよ母ちゃん。わざわざ様子を見にこなくていい。
親の顔見たいって言ったけど、言葉の綾だよ、物語の展開を盛り上げようと思っただけだよ。今はそっとしておいておくれよ。







そして、土曜の夜も。日曜の夜も。
Aが部屋に来ることはなく、これはマジのやつだと俺もだんだんと焦り始めていた。
ベッドの上で正座して、この2日間閉ざされたままのAの部屋のカーテンを見た。


頭の中を一旦、整理しよう。
なんか色々厄介でこのままだと頭がパンクしそうだ。
えーっと、奴はヒョンに気があって…


あ、いや。なんかもっとポップにやんないと、だめだこれ。
もう一回。はい、テイク２。


Aは俺のマイメンであるキムテヒョン先輩が大好き！
それはそれは、言葉を交わすだけで動揺しちゃうくらいだーいすき。

一方のキムテヒョン先輩は女の子が大好き！
「世界中の女の子と一期一会」をモットーに今日もはじめましての誰かのベッドの中だ。

そんでもって、主人公の俺は幼馴染のAが大…



「は？」



思わず声が出て、首元に変な汗をかく。
今、なんて言おうとした？俺。


俺が、誰を大好きだって？




「ジーザス！！」







.

15→←13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す