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「おうふっ」
真っ黒のフードを深くかぶって、玄関を出たところで今1番会いたくない人と出くわす。
何かの汁がたぷたぷに入ったタッパーを手に俺の家に侵略してくるつもりだ。
「グク、変質者みたいだよ」
「どっちが。謎の汁抱えて人の家の前に立ってる奴に言われたくないわ」
「どっか行くの？」
「どこまでも行ってくるよ」
「とうとうとち狂ったか」
おばさーん、おでんの出汁いるー？と大きな声を発しながら玄関に入っていくAを目で追う。
どこの家庭がおでんの汁だけ欲するんだよ、アホか。どっちか言ったら具を持って来い、具を。
…はんぺん。
なぜ。
はんぺんを想像したはずなのに、なぜパンティーからはみ出した下尻が脳で再生されるんだ。
山の神、どうか怒りを鎮めてください。僕は今から修行僧のように無の境地に行きますから、待っててください。
何も考えられないように、音楽も聴かずに全力でうおおおと雄叫びをあげながら走った。
散歩中の犬も、イチャつくカップルも、交番のおまわりさんもみんな駆け抜けて行く俺を見てポカンとしてる。
どんな風に思われたって良いんだ、今はただただ俺は修行僧に、無の境地に行くんだ。
「上にAちゃん来てるわよ」
母ちゃん、1時間無になって、風になって、塵になった息子に魔法の言葉をかけるのはやめてくれ。
"A"ってワードを聞いただけで、ぎゅっとなるんだよ。ぎゅうっと。
シャワーを出て、髪からぽたぽたと水を滴らせながら居間のテレビに夢中になっているフリを続けた。誰の言葉も耳に入ってこないくらいに、くだらないクイズ番組に釘付けになっているフリを。
「あんた、珍しく自分の部屋行かないわね」
「(聞こえません)」
「…喧嘩でもしたんじゃないでしょうね、Aちゃ」
母親の言葉を遮るように、大きなくしゃみが出た。ナイス、今ので魔法のワードは聞こえなかったことにできる。
「いつまでも裸で居るからでしょ、服着てきなさい」
テレビの電源を消され、なす術がなくなった。
仕方なく足音を立てないように二階へ上がり、部屋の様子を扉の隙間から伺った。
お、居ないぞ。
きっと窓から自分の部屋にもう戻ったんだな。
「なんだよ、帰るなら帰るって言」
「居るけど」
肺がひゅっと音をさせて、心臓が一瞬止まった。
ゆっくり後ろを振り返る。まるでホラー映画のように、ゆっくりと。
「で、出た…」
.
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daicomg84(プロフ) - 芍薬さんが大好きです。 (2022年6月11日 23時) (
レス) id: 289e7de8f2 (このIDを非表示/違反報告)
ちむこ(プロフ) - あかん。おんもろすぎる（笑） (2022年2月24日 3時) (レス) @page48 id: fab33c3484 (このIDを非表示/違反報告)
ちむこ(プロフ) - やばい笑いすぎてお腹痛いです (2022年2月24日 2時) (レス) @page6 id: fab33c3484 (このIDを非表示/違反報告)
amo(プロフ) - ちやんと人の話を最後まで聞けー！！！！ジョングガー！！！ (2021年7月9日 18時) (レス) id: 23a390d558 (このIDを非表示/違反報告)
Jina(プロフ) - じょんぐ、よく頑張ったよ！ご褒美にうまい棒あげる^^喉カラカラになってむせたことにして泣いちゃえTT (2021年7月9日 15時) (レス) id: 471479b0c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芍薬
| 作成日時：2021年6月28日 18時
