85(doyoung) ページ8
明確にそうだと本人たちの口から聞いたわけじゃない。ただ見てて、そうなんだろうなという確信はあった。それがジェヒョンとドンヒョクだ。二人がAヌナに恋愛感情を抱いているのは随分前から気づいていた。
『さっきAヌナに会ったんですよ』
ジェヒョンはわりと上手く、気持ちを隠しているほうだと思う。ただ、Aヌナの名前を呼ぶときに甘ったるい雰囲気を醸し出してくる。
だけど、ジェヒョンはどうしたいのかわからないから困る。ヌナに対する気持ちを伝えたいのか伝えたくないのか、今以上の関係を望んでいるのかまったく読めない。
『マークヒョン、Aヌナに会いたいんだけど』
反対に、ドンヒョクはわかりやすい。気持ちに応えてほしくて必死になっている。ドンヒョクがヌナのことを好きなのは、思い返せばかなり前からだった気がする。気づけば懐いていて、可愛い弟のポジションから、もっとそれ以上を求めるようになっていた。
「Aヌナは誰かに必要とされたい人ですか?」
「本当によく見てるね。そうだよ。きっと寂しいんだと思う、一人になるのが」
マークが以前言っていた。ヌナは両親を亡くしてからマークの家に引き取られたが、長い間壁があったらしい。戸籍上は家族だとしても他人で、どこか遠慮している、そんな感覚で過ごしていたそうだ。だから人一倍寂しい気持ちを持ってて、それを隠すのが上手い。
「あいつらに必要とされるのはだめなんですか?」
「どうなんだろう、わかんない。でも私は、例えば私のことを好きになってくれて応援してくれてるファンの人とか、大好きなこの仕事とか、色んなものを差し置いて自分の気持ちを優先する勇気が、まだないんだと思う」
「なるほどね。本当に不器用」
「知ってる」
やっぱりヌナは、賢くて優しい人だと思った。常に誰かを思って行動している気がする。だけどそれじゃあ、いつヌナが幸せになるんだろう。
「気持ちを知っておきながら何もしないのって、最低?」
「仕方ないことだと思います。それより僕は、ヌナが幸せになってほしいだけなんです」
「私は十分、今のままで幸せなんだけどな」
Aヌナはそう言って照れくさそうに笑った。
「あ、じゃあもし、仕事でそういうのきたらどうします?」
「ウギョルみたいな?」
「そうそう」
「どうするんだろうね。絶対に無縁の番組だから、想像したことないや」
そう言っていたヌナにウギョルの仕事が舞い込むのは、もう少しあとの話である。
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ゆび - この作品に出会えてよかった……ありがとうございました………Chocolatちゃんたちの未来に幸あれ……🌸🌸続きが読めないことは残念ですが、またどこかでお会いできる日を楽しみにしております!! (2022年12月3日 18時) (レス) @page41 id: b9570136cf (このIDを非表示/違反報告)
smallpeach(プロフ) - 久々に読ませていただきました。この作品本当に大好きです。完結表示が出ていて寂しい気持ちもありますが、ここまで続けていただいてありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています。 (2022年10月4日 0時) (レス) @page41 id: eabc0d3a73 (このIDを非表示/違反報告)
pn_ba1(プロフ) - こちらのお話はもう更新されないのでしょうか? (2022年8月21日 1時) (レス) id: d4e59b8d7f (このIDを非表示/違反報告)
yui.(プロフ) - 大好きな作品なので更新とても嬉しいです!これからも応援しています!^^ (2021年11月16日 7時) (レス) id: 16bd37e790 (このIDを非表示/違反報告)
ネプコ - とても面白くて一気読みしました!!!興奮が止まりませんwwお忙しいかとは思いますが、体に気をつけて更新頑張ってください!応援しています❣ (2021年10月4日 19時) (レス) @page38 id: 171786c0ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔 | 作成日時:2018年3月22日 18時