夜明けのパンセ ２

５１(mark) ページ47

デビューが決まったことを伝えようとAヌナの練習室に向かうと、すでに先客がいた。

「ジェヒョン、元からかっこよかったけどもっとかっこよくなったね」
「ヌナはまた僕に見惚れてるんですか？」
「んー...そうかもしれない」

「僕もヌナに見惚れてますよ」というジェヒョニヒョンの甘ったるいセリフが聞こえて身震いする。あの人またそんなこと言ってるのか。ていうかヌナもそうかもしれないって何だよ。ジェヒョニヒョンのことは尊敬しているし大好きだが、Aヌナが絡むと話は変わってくる。まったく目を離すとろくなことがない。

初めてジェヒョニヒョンを見たとき、思い出したのはAヌナのことだった。ヌナは昔から、誰がかっこいいだとか可愛いだとかそういうことには興味がないのか一切口にしない人だった。だけど俺は知っている。ヌナは、俺がかっこいいと思った人のことをかっこいいと思う人だ。血は繋がってないのに好みは一緒だなんて不思議な感じだが、とにかくそうなのだ。だからジェヒョニヒョンのことを俺がかっこいいと思った瞬間、ヌナもかっこいいと思うだろうなということを考えた。

「失礼します」

ドアを開けて室内を見回すと、練習室の隅にジェヒョニヒョンとAヌナが並んで座っていた。ユンソヌナとジウヌナもいると思ったのに誰もいないなんて予想外だ。これじゃ完全に二人っきりじゃないか。いや、もしかしてそれを狙って？このヒョンならあり得る話だ。

「ウリエギ〜来たの？」
「ヌナ、いきなりごめん！報告があって...ていうかジェヒョニヒョン、俺より先に行かないでよ」
「ごめんごめん。一応行くよって声はかけたよ」
「誰に」
「テイルヒョン」
「テイルヒョン何も言ってなかった！」

じゃあそれはテイルヒョンの責任だなと言いながらジェヒョニヒョンは呑気に笑っている。

「それより報告があるんじゃなかったの？」
「そうだそうだ、ヌナ！」
「うん」
「俺、デビュー決まったから！」
「え！！ほんとに！？」

あのヌナが目に見えるほど驚いている。その新鮮な反応に少しだけ疑問を抱いた。あれ、先に来たのにヒョンは何も言ってないのか？

「ちなみに僕も一緒のグループなんですよ」
「嘘！？おめでとう！！」

わかりやすく嬉しそうな顔をしているヌナに、胸がいっぱいになった。やっと同じ場所に立てる。

「ヒョン、まだ言ってなかったの？」
「マークが先に言いたいだろうなと思って」
「あ〜ヒョンってばほんと...」

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