夜明けのパンセ ２

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「A！A！」

練習室のドアを開けてベッキョンオッパが興奮した様子で入ってきたのは、ジウオンニのドラマ出演の報道が出てすぐのことだった。カムバックを春に控え、練習室に来ることが多くなったある日の話である。

「ベッキョンオッパ、私もいるんで」
「おーユンソ久しぶり！」

ジウオンニはドラマなどのスケジュールの打ち合わせに行っており、私とユンソだけが先に練習を初めていたのだが、休憩を見計らったようにベッキョンオッパは私たちの練習室を訪ねてきたのだった。

「よくここってわかったね」
「お前らのマネージャーに聞いたらここって言うからさぁ。カムバック近い感じ？」
「うん、５月。オッパは？」
「俺ら６月」
「うまい具合にずらされてますね！ていうかベッキョンオッパ、なんのためにここに来たんですか？」
「そうだよそんなこと言ってる場合じゃなかった、ドラマ！」

ドラマと言いながら詰め寄ってくるベッキョンオッパを見て、何となく言いたいことはわかった。つまりあれだ、ジウオンニとのドラマ共演でテンションが上がっているのだこの人は。

「あ、出演おめでとう」
「ありがとう、いやそうじゃなくて！俺はついにヤン・ジウとお近づきになれるんだ」
「お近づきもなにも、何回も共演してるじゃん」
「そうですよベッキョンオッパ、何今更なこと言ってるんですか」
「ばか！いつもはAとユンソと３人まとめて会うけど今回は違うだろ...二人っきりだぞ！」
「他の出演者もいますけど」
「もーほんとお前ら全然わかってない」

ベッキョンオッパがジウオンニのことを初めて会った芸能人のような感覚で見ているのは練習生のころから変わらない。しかしジウオンニも先輩に遠巻きに見られることは居心地が悪いらしく、今回のドラマはチャンスだと喜んでいた。というのは面白いので黙っておこう。

「あのヤン・ジウだぞ？やべぇよ...」
「大丈夫だって、オッパはプロなんですから」

ベッキョンオッパはやばいやばいと言いながらグルグルと練習室を歩き回っている。

「いい機会じゃん。だって姉弟の役なんでしょ？しかも、オッパが弟」
「おいイ・A、笑うんじゃねぇよ」
「ジウオンニの天真爛漫な皇女も死ぬほど笑ったけど、ベッキョンオッパのほうが弟ってことでもかなり笑いました、私たち」
「しばらくその話題で宿舎大盛り上がりだったよね」
「失礼だなおい」

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