ここにいる【銀魂】第9章

367 ページ17

side松陽









…久しぶりの、この温もり。


200年前から忘れもしなかった、大好きな香り。




もう2度と触れる事が出来ないと思っていたものが、今再び腕の中にある。


幸せを感じたのはいつぶりだろうか。




この人がいるだけで、心が和らぐ。


この人がいるだけで、それでいいと思える。




そう思えたのは、何百年生きて来た中で初めてだった。







「おはよう松陽」



「_________おはようございます」







なんて事ない朝の挨拶。



ああ、本当にここにいる。




私の腕の中に。……触れられる、距離に。









「Aさん、今日は何か予定ありますか？」



「ううん、何もないよ」



「なら、もう少しだけ側にいててもよろしいですか？」



「ふふ、うん。もちろん」








側にいて下さい、とはにかみ私にぎゅっと抱きつく彼女。



可愛い。



その体を抱きしめ返し、そ…と頭を撫でる。








どのぐらいの時間そうしていたか、気付いた頃には昼近くになっていて流石に起き上がった私達。


朧も誘い私の部屋で三人昼食を済ませると、鑑内を案内する。



と言ってもあまり彼女には見せたくないものばかりだから殆どただ歩いているだけですが。





最後にそういえば、とある事を思い出し厳重に施錠された部屋まで行く。



ここは私や船員が各星々で集めた様々な研究材料や保護しておくのに値するものが置かれている場所。


言わば博物館のようなもの。





つい先月手に入れたばかりのある物を見せようと彼女を招き入れた。









.









___________それが、彼女を狂わす物とも知らずに








.

368→←366

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す