夕焼けに染まる (ページ9)

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第8話ページ9

とある日の放課後、続々とクラスの人達が部活に向かったり帰ったりする中、私は本を読んでいた。

あとすこしで読み終わるから、読みきっちゃいたい気分だし。

康二「また明日な！」

A「うん、また明日」

向井くんも教室から出て、いつの間にか教室に1人。

あと20ページくらい、と読み進めていく。

読み終えて余韻に浸る、この時間がたまらなく好き。

一息ついて外を見ると夕焼け、オレンジ色の光が教室を照らしていた。

A「綺麗…」

同じ太陽のはずなのに、夕日ってなんでこんなにも惹き付けられるんだろう。

この光は、まるで…＿＿＿＿

「あれ？まだおったん？」

突然声が聞こえてドアの方を見ると向井くんが驚いた表情でこちらを見ていた。

A「本読んでて…向井くんは忘れ物？」

康二「せやねん、体育着忘れた」

今日体育あったから持って帰らないと大変なことになるね、気づいてよかったこと。

私の隣の席に歩いてくる向井くん、夕日に照らされてオレンジ色に見える髪。

康二「なんかついとる？」

気にさせてしまうくらいには彼を見ていたらしくて、咄嗟に謝る。

A「ごめん、向井くんって夕日みたいだなと思って」

思わず口走ってしまったがなかなか恥ずかしいことを言った気がする。

思った通りぽかんとしている向井くん、私も言われた側だったらそうなる。

A「な、なんでもない」

康二「えぇえ！俺今めっちゃ嬉しかったんやけど！」

嬉しそうな顔はしてなかったけどね。

今は本当に嬉しそうで、忘れ物を取りに来ただけのはずなのに隣に座り出した。