夕焼けに染まる (ページ26)

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第25話ページ26

まだ涙で視界がままならない中私は廊下を走る。

目黒「さっき康二にしたお願いは…」

2年1組、勢いよく扉を開くといつもの席に座って夕日に照らされる彼の姿。

康二「、A！！」

きっと前髪も崩れてる、涙で顔もぐしゃぐしゃだ。

でもそんなこと気にしてられない、目黒くんが用意してくれたチャンスなんだから。

康二「A、泣いて…」

A「向井くん、あのね、」

伝えなきゃ、目黒くんが頑張ってくれた分、私も頑張らなきゃ。

私の世界を変えたのはあなただって、新しい感情を教えてくれたのもあなただって。

A「私ね、向井くんが、」

康二「待って！！」

意を決して言葉にしようとした時、向井くんが大きな声で遮る。

向井くんは手を心臓に当てて、深く息を吸って深呼吸をした。

康二「俺、Aと初めて話した時この子いい子やなぁって、友達沢山出来そうやなぁって思ったんよ」

だからあーやってまとわりついてな、と出会った頃のことを話す。

康二「友達になれて良かったって本気で思てる。でも、今はそれ以上になりたい」

友達以上？それって…＿＿＿＿

康二「A、好きやで、付き合ってほしい」

A「、私も、好きですッ」

両手で顔を覆うようにしてからお願いしますと頭を下げると、向井くんは思い切り私を抱きしめた。

康二「ほんまに？」

A「本当に。私こそ、疑っちゃう」

康二「疑わんで、ほんまに好きやの」

A「、うん、私も、好き」

ギューッと効果音がつきそうなくらい強く、痛くない程度に力を込められる。

それごとに涙が溢れて私は拭うので精一杯だった。

康二「嬉しすぎる、ほんまに、やばい」

語彙力なくなってもうた、と笑う彼に釣られて私も笑う。

窓から差し込むオレンジの光、あたたかくて優しい光が2人の影を伸ばす。

その光はまるで私にとってのあなた、優しく包み込んでくれるんだ。