第20話 ページ21
目黒くんとするのはだいたい本の話、私が読んだ本とか勧めた本の感想とかを聞く。
A「その本向井くんも気に入ってくれてね」
私に感想を話す時いつもの倍楽しそうだったんだよね、と思い出し笑いしながら話す。
まるで映画でも見てきたかのような表情でびっくりしたな。
目黒「…Aってさ」
A「ん？」
なんだろう突然、声色が変わって少し空気が重くなる。
変な事言っちゃった？不安になる私となかなか口を開かない目黒くん。
少し歩いた後、重たそうな口を開いた。
目黒「…Aって、康二のこと好き？」
A「……え！？」
思ったような質問じゃなくて大きな声を上げてしまう。
というか、バレてる？私そんなわかりやすい？
A「や、え、なんで」
目黒「康二の話する時が1番楽しそう」
本の話する時くらい、と言われて黙ってしまう。
違うよと否定すればいいのに、テンパりすぎて言葉が出てこない。
目黒「やっぱり」
わかりやすいね、と笑われる。
からかわないでと言おうと目黒くんを見上げると笑っているはずなのに苦しそうで、息をとめた。
A「、目黒く、」
目黒「駅、着いたよ」
いつの間にかそんなに歩いていたのか、もう私が使う駅の改札前。
目黒くんは自転車に跨った後もう一度私を見ると、いつもの様に笑う。
目黒「また明日」
A「う、うん、またね」
その笑顔は本当にいつもの様だった？
目黒くんの苦しそうに笑う顔が頭から離れない。
なんで、なんて聞けない。
人と関わることを避けてきた私ですらわかる、なんであんなに苦しそうだったのか。
私、最低だ。
泣くべきは私じゃないのに目頭が熱くなって、こぼれないように上を向いた。
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名：みん
| 作成日時：2020年2月4日 0時
