夕焼けに染まる (ページ15)

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第14話ページ15

次の日、いつも通り席で本を読んでいた。

厳密に言えば読んでいるふり。

昨日から向井くんが頭から離れなくて本も全然読めなくて。

せっかく新刊借りてきたのに…と思っていたら元気な挨拶が聞こえた。

そちらを見ると向井くんがみんなと話しながら私の横に来る。

急いで目線を本に戻し、見ていたことがバレないように下を向く。

今までなら見ていたとしても目が合ったら挨拶とかしてたのに、なんでこんな必死に隠してるの？

康二「…A！おはよーさん！」

A「おはよ」

向井くんはいつも通り話してくれるけど、私の心臓は鳴りっぱなし。

少ししたあと体育の時に仲良くなった子が私のところに来て、なんでもない話をする。

「あ、A眼鏡作るの？」

A「あ、あー、どうしようかな」

眼鏡はあったほうがいいから多分作るんだけど、コンタクトをどうしようかな。

眼鏡が壊れたことを親に伝えたら親にもコンタクト勧められたし…

「絶対コンタクトがいいよ！ね！向井！」

康二「ぉ俺ェ！？」

急に話を振られた向井くんが驚きの声を上げる。

この会話で昨日のことを思い出してしまった、顔を見れない。

康二「せ、せやなぁ、コンタクトの方がええんちゃう？」

「だよね！」

向井くんはコンタクトがいいんだ、なんて気にしてしまってる私がいる。

…近いうちに眼科にでも行こう、とバレないように心に決めた。