【vol.3】神様の気まぐれで転生トリップする事になりまして【ヒロアカ】 (ページ10)

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92話ページ10

《ppp.......ppp.......》

スマホのアラーム音が鳴る。まだちょっとだけ眠い目を擦ってアラームを止めて起き上がる。

その瞬間、鼻を微かに掠める焦げ臭い匂い。

『嘘.......もう始まってる.......！？』

部屋の電気を付けるのは敵に見つかりやすくなるだろうと判断し、スマホのライトを使って窓を探した。
周りに何もいないことを確認して少しだけ窓を開ける。
森から立ち上がる黒煙の中に僅かに見える蒼炎。それは紛れもない、敵連合の荼毘による炎だ。

服装を整え、急いで施設の玄関口まで降りていけばそこには既に荼毘の分身と戦った後であろう相澤先生がいた。

『先生.......これ.......』
｢.......Aか。お前もここにいろ、すぐ戻る｣
『いえ、私も行きます』

森の中へ駆けようとする先生を引き止めると、ジロリとこちらを一瞥した。

｢ﾊｧ.......今のお前には何言っても無駄そうだ。これだけは約束しろよ、危険だと思ったらすぐに逃げること、いいな｣
『.......はい！』

森へと向かう先生の背中を追いかけて私も走る。
荼毘の分身はさっき先生が倒したみたいだし、しばらくはここに来ないだろう。
だとすると心配なのは、今戦ってる肝試し組の皆＿＿もといデクくんとかっちゃん。

マスキュラー戦ではかなりのダメージを負っていたはずだ。少なくとも両腕はダメになってる。

｢先生！｣

森の中を駆けていればデクくんの声が聞こえた。
予想通りと言うべきか、やはりデクくんはマスキュラーとの戦いで体がボロボロだった。背中には洸汰くんがおぶさっている。

｢先生！Aさんまで.......良かった.......
大変なんです！伝えなきゃいけないことが沢山あるんですけど.......
とりあえず僕、マンダレイに伝えなきゃいけないことがあって｣

デクくんは洸汰くんを下ろすと私達へと差し向けた。

｢水の個性です、絶対に守ってください！お願いします！｣
｢待て緑谷！｣
『待ってデクくん！』

先生と私の声が重なる。驚いたデクくんは走るのを止めてこちらへ振り返った。

｢その怪我.......またやりやがったな｣
｢あっ、いやでも...｣
｢だから、彼女にこう伝えろ。
A組B組総員、プロヒーローイレイザーヘッドの名において戦闘を許可する、とな｣

この戦闘許可はあくまで自衛の術だ。
少なくとも相手は殺しのプロ。ヒーローの卵である私達が勝てる保証は何処にもない。
既にデクくんは戦った後だ。ボロボロの両腕が何よりの証拠。

『デクくん、私からもちょっといいかな』