黎明Ⅱ (ページ11)

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38話ページ11

流星side

先生から説明を受けて、母さんと揃って部屋を出る

流星「あ、待って、そこで話さへん？」

俺の病室に足を向けた母さんを引き止めて、近くの休憩室に案内する

まぁ、あの後やったらどう頑張っても転院のこと話さなアカンから、望に聞かれへんようにな

藤井母「…分かった」

向かい合って座った俺達の重苦しい雰囲気を破ったのは、母さんやった

藤井母「流星は、どうしたい？」

俺は…

流星「俺は、ここが良い」

藤井母「っ…何で!?この機会を逃したら、あんたはもうっ」

流星「これ、見て？」

俺は、貰ったパンフレットの手術費用についてのページを開けて母さんの方に向けた

流星「母さん、最近仕事増やしてるやろ」

藤井母「それはっ…」

入院してすぐの時は、よう来てくれよったけど、今は前より減ったし、会うたびに疲れた顔しとる

この前も父さんからって言いながら仕事の電話出て話しながら頭下げてんの見たし

父さんやって俺のために遅くまで働いてくれてんのも知ってる

流星「うち、元々そんな裕福ってわけや無いけどさ？俺の楽器代とか全部出してくれてたやん？」

俺らは部活でやってた訳でも無いからほんまに全額自腹で、でも母さんも父さんも「大丈夫、頑張り」
って背中押してくれた

流星「今やって、治療費苦しいんやろ？もうこない甘えさしてもろとんのに、これ以上迷惑はかけれんよ。やからっ」

―パシッ―

藤井母「ええ加減にしいや！」

久々に聞いた母さんの怒った声は、涙で少し震えてた

藤井母「あんな？あんたは、私達の宝物なん。流星の夢は、私達の夢やねん。流星がおるから、私達は働けるし頑張れる
流星が生きててくれるなら、歌手になろうがなんだろうが、応援するから
それが、親ってもんやねんで？」

あぁ、そっか…俺

俺は…俺の思っとる以上に、愛されとったんやな…