32話 ページ32
「“ザ・タワー”！」
「“ザ・ウォール”！」
塔子と壁山の間一髪のダブルディフェンスにより防ぐことが出来たが、シュートの威力はそれでもなお落ちることなく二人の表情は少しずつ険しくなっていく。
2人のディフェンスを破り上へと弾かれたボールを追って吹雪が飛んだ。吹雪を追うようにマークについていたスオームとメトロンも地を蹴った。
「「吹雪！」」
円堂と染岡が同時に叫んだ。
蒼龍は前触れもなく勢いよく立ち上がった。驚いた秋が呼び掛けても気づかないのか吹雪を見つめている。その目は真剣そのものだ。
そっと首に巻いてあるマフラーを握った吹雪はぐるんと勢いよく回った。距離があるため顔はよく見えないが、雰囲気が変わったことをベンチにいる蒼龍は感じ取った。
『…吹雪』
(これだ。これを私は見たかったんだ。でも、今そこにいるのは吹雪ではない、吹雪士郎であって吹雪士郎ではない。そんな存在だ。いったい君は誰なんだい。違う道を行ったら私もこうだったのか？)
好戦的に笑い、髪を逆立ていつも眠そうなタレ目を釣り上げ、瞳を橙色に輝かせた吹雪は
「もらったぜ！」
と空中でメトロンとスオームを踏み台にして更に高く飛びシュート体勢をとった
「“エターナルブリザード”いっけぇぇぇ！！」
吹雪の咆哮と共に放たれた“エターナルブリザード”はデザームの元へと一直線に向かった。
それでもデザームはにやりと笑い片手で必殺技も使わずそれを受け止めた。
ゴールで大きな爆発が起こる。着地した吹雪が満足そうな顔でゴールを見ている。誰しも点が入ったと思っている。煙が収まり周りが見えるようになった瞬間吹雪が表情を変えた。
「なっなに！？」
そこには“エターナルブリザード”を左手で受け止め傷一つついていないデザームがいた。雷門イレブンに衝撃が走る。
「“エターナルブリザード”ゴールならず！イプシロンのキャプテンにしてキーパー、デザームによってガッチリと止められてしまったぁ！」
『…嘘だろ』
「この滾るような感覚…なんだ…」
「“エターナルブリザード”を」
「止めやがった…！」
「…っありえねぇ！」
吹雪が悔しそうに顔を歪める
「敵ながらいいシュートを打つ、気に入ったぞ」
「褒めてくれてありがとよ」
「お前たちはエイリア学園にとって大きな価値がある。残り2分20秒、存分に戦ってもらおう」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：南極 | 作成日時：2019年11月29日 20時
