蒼い月の詩 (ページ22)

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22話ページ22

朝に弱い蒼龍が珍しく早く起きた。寝起き特有のぼんやりとした頭を動かしつつ両腕を上に伸ばしグーッと伸びをする。クアッと効果音が付きそうな欠伸をしてまだぼんやりとする頭で周囲を見渡した。右隣には塔子がスヤスヤと寝ており起きる気配はない。左隣には秋が寝ている、その隣には夏未が、こちらも起きる気配がない。では春奈は？と春奈が寝ている方を見ると
『あり？』

　誰もいない。もう起きて朝ごはんの準備でもしているんだろうか。ならば手伝おう。そう思って蒼龍は起こさないように寝袋からでて外へでたものの、寝起きの体には外は寒く寝袋のよこにの置いていた大きめのブランケットを体に巻き付けもう一度外へ出た。

　昨日と同じ場所で準備しているのだろうと向かおうとすると「まだだ！もう一回！」と声が聞こえた。声のした方へと無意識に歩いていく。

『…ん？』

　そこには探していた春奈となぜかキャラバンの運転手古株と昨日会った木暮がサッカーをしていた。サッカーというより古株からボールを取ろうとしているんだろうが何回挑戦しても取れず芝に転んでいる。それをじっと蒼龍は見ていた。

　やがて古株が水分補給もかねて休憩に入った。
「あの子凄いねもう二時間もやってるのに全然スピードが落ちないんだから。それにあの動きなかなか出来ないよ」

「早くしろよ！」
　急かす木暮に「はいはい」と返事をし休憩を終えた古株が戻っていく。

『本当凄いねー』

「！」
　いきなり後ろから声をかけられて肩を揺らした春奈が勢いよく振り向いた。

「そ、蒼龍さん！？」

『おはよー音無。驚いたよ起きたらいないんだから』
「おはようございます……ごめんなさい、起こしちゃいましたか？」

『んーさっき起きたばかりだ。まだ完全に起きてない。それにしてもよく動くねあの子』

　木暮に目をやりながら蒼龍はふわぁと欠伸をし『二時間もこれやってるんでしょ？たいりょくあるなぁ』と感心した様子を見せた。

「……あの」

『ん？』

「蒼龍さんから見ても凄いと思いますか？」

『思う』

　きっぱり言い切る蒼龍に春奈は目を丸くした。それほど凄いのか。まだ少し疑っている。

『私もあっちのベンチで見てるとするよ、寝るかもしれないから後で起こして』

　奥にあるベンチを顎でしゃくった蒼龍は『それじゃ』と言ってベンチへ向いブランケットにくるまったまま座った。