21話 ページ21
夜ご飯を食べ終えそろそろ寝ようという頃に夏未がポケットから取り出したものを見た蒼龍が横から覗きこみ『これなに？』と興味津々といった様子で聞いた。
「これ？見てて」
そんな蒼龍を見てクスリと笑うと手に持っていたそれをヒョイと投げた。地についた途端に形を変えテントへと様変わりしたそれを見て蒼龍は目を輝かせながら『すげー！テントだ！雷門これ凄いな！』とテントへと走っていき興奮したように周りを見始めた。褒められて嬉しいのか夏未は頬を赤くして照れている。
未だにすげー！を連発しながら周辺を見たり人差し指で突っついてる蒼龍を、周りは小さな子どもを見るような目で見ていた。
漫遊寺サッカー部の猛禽類のような表情とは一変し子どもように(子どもなのだが)はしゃぐ彼女を見て目鏡は「これが本当のギャップ萌えっ！」と言っているのを見て染岡があからさまにひいている。
『雷門！中、中入っていいか！』
「えっええ、いいわよ」
「蒼龍！今日隣で寝ていい？」
『いいよ！』
寝袋を持ってきた塔子と一緒にテントの中に入り『ひろーい！すげー！』と興奮している蒼龍の声がテントの外まで聞こえてきた。
「もう、蒼龍さん、そんなはしゃいでると寝れなくなるよ！」と秋に言われ中からヒョコッと顔をだし興奮冷めやらぬといった様子で
『それもそうだ、いや僕としたことが…あっ！寝袋キャラバンの中だった取ってくる！』
テントから出て素早く靴を履きキャラバンへと走っていった蒼龍に周囲はなんだか微笑ましい気持ちで見ていた。「元気だねー蒼龍」と一之瀬の呟きにうんうんと頷いているその中で、
「僕…？」
吹雪ただ一人が蒼龍の一人称が変わったことに気づいた。
自分と似ていると彼女は言ったが果たしてどういう意味なのか。吹雪は改めて考えた。
「蒼龍さんって案外子どもっぽいところあるのね」
「意外ね〜」
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作者名：南極 | 作成日時：2019年11月29日 20時
