蒼い月の詩 (ページ13)

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13話ページ13

「ごめんね！なんか蒼龍くん…違う蒼龍さんはえっと、女の子って言うよりなんだか……」

『男子っぽい』

「………うん」

『なるほどな』

「…怒ってる？」

『いーやまったく。まぁ実際そうだからね』

「え？」

　丸い目をさらに丸くしてキョトンとしている吹雪を見て口角を上げオレンジジュースを一口飲んだ。

「どういうこと？」

『きっと君と似てるようなもんだよ。君の事情は知らないけどね』

　“事情”意味ありげに紡がれたこの言葉が吹雪にはひっかかった。“事情”思い当たることならある。だがそれを知る人は今ここには誰もいないはずだ。

　もしや蒼龍は自分に起きたことを知っているのではないか、吹雪は背中に少し冷や汗をかいた。衝撃をうけた顔をしてこちらを見ている吹雪を見て(やっぱり、なんかあるんだな…)と蒼龍は思った。

「なんで…」

「吹雪ー！蒼龍ー！」

　停めてあるキャラバンの近くに集まっていた円堂が吹雪と蒼龍を大声で呼んだ。

「こっち来いよ！皆集まってるぞ！」

『分かったー！今行く！…行こ吹雪』

「う、うん」

　トントンと吹雪の肩を軽く叩き皆が集まっている方へ歩いて行った。先を歩く蒼龍の背中を吹雪はじっと見ていた。一体彼女は何を知っているんだろう。