17話 ページ17
男の子は“木暮”と言うらしい。教えてくれたのは先程その木暮を大声で呼んだ橙色のタオルを頭に巻いた漫遊寺のサッカー部員であった。
塔子に木暮がしたことを謝罪した際「内の部員が」と言ったのがきっかけで発覚した。
橙色のタオルのサッカー部員によると、木暮はどうやら周りが敵だと思っているらしい。サッカーよりもまずは精神を鍛え直すことにさせたが何度説明しても理解してもらえず、仕返しとしてあのようなことをしているのだと。
落とし穴を掘ったり、床にガムをつけたり、ボールにペンキを入れ部員をペンキまみれにしたり、その他諸々…
「かなり性格歪んでるな」
「ハハッ…」
土門と一之瀬が苦笑いを浮かべる。
「同じサッカーをする者として恥ずかしい限りですねぇ。あぁ、壁山くんもう少し右です」
床に座り込みさっに押し潰された仕返しととでもいうようにに壁山に肩揉みをさせている目鏡にお前が言うなと視線を向けられる。
「でも、どうしてそんなに皆のことが信じられないのかしら？」
秋の疑問の問いに橙色のタオルの少年は目を伏せ「木暮は小さい頃親に裏切られたようで」と話した。
「えっ親に？」
「！」
春奈が普段は明るい声を僅かに暗く沈ませ、鬼道は眉をひそめ妹である春奈を見た。
「えぇ、それ以来人を信じることが出来ないみたいです」
暗く沈んだ雰囲気の中ハッとした表情を浮かべた橙色のタオルの少年が「で、なにか私たちにご用でも？」と聞いてきた。思い出したように塔子が
「あ！そうそう！」
「実はここにエイリア学園からの襲撃予告がきたと聞きまして」
今まで無言だった瞳子がここにきた目的を伝えた。
「襲撃予告…？あぁそのことですか」
「俺たちも一緒に戦おうと思ってさ！」
「…そうですか、ではどうぞご案内いたします」
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作者名：南極 | 作成日時：2019年11月29日 20時
