若頭に愛されています【るぅと】

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Aside

『るぅとさーん？』

るぅとさんは、私に背を向けて眠っていた

もう寝ちゃったのかな…？

るぅとさんの向いている方に回りこむ

『…んふふっ』

『なぁに泣いてるの』

「っ…うっさい。見ないで」

布団を顔まで持ってきて、目だけひょこっと出ている

ポロポロ涙を流していて、可愛いって思っちゃう

『ん…どうしたの？』

彼の頭を優しく撫でる

「僕…っ」

「皆がAと仲良くしてるの…っ、気にくわないっ」

「それに…、さとみくんがAの頭撫でたのも気にくわないっ！」

布団から手をにょきっと出して、私の手を掴む

「僕だけがAと仲良かったらいいのに…」

彼は、私の指先に優しくキスする

そして、私の手で涙を拭う

私の手はるぅとさんの涙でびちゃびちゃだ

普通は嫌なのかもしれない

だけど私は、彼に染められているようで好きなんだ

二人の時が一番独占欲の強い、彼が

大好きなんだ
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さとみside

あまりにも帰ってくるのが遅い為、三人で見に行った

「…あれ？」

「Aちゃんとるぅとくん、一緒に寝ちゃってる…」

「二人とも可愛い」

組長は、「可愛い可愛い」と写真をずっと撮ってた

すみません。

組長が一番可愛いです。

二人は手を繋いで、一緒に眠っていた

「懐かし…」

俺はポロっと言葉を漏らした

「俺もおんなじ事思いだした」

莉犬が小声を上げる

そう、昔…



るぅとと特別仲の良かった女の子がいた

何歳だっけ？るぅとが5歳くらいだっけ？

名前は…ミワちゃん？だっけ

毎日屋敷に通って

「るぅとくん！るぅとくん！」って、笑いながらるぅとに飛び付いてさ

妹みたいな感じで可愛いかったなぁ…

で、昼寝の時いっつもるぅとの手を握って寝てたっけ

それを皆で可愛いって言い合ってさ…

懐かしいな…

でも、突然来なくなった

家まで見に行ったけど、引っ越してた

るぅとは一週間くらい、寝る前に泣いてて

見てる俺らも貰い泣きした

「クローバー…」

莉犬がぽつりと漏らした

「今るぅとどこにやってんだろーな」

それは、ミワちゃんがるぅとに渡した物だった

泥だらけになって、２つのクローバーを持ってきた

るぅとに１つ、自分に１つと

お揃いのクローバー

「起こしちゃ悪いし、戻ろうか」と組長が笑った

ミワちゃん…

もし、もし、ミワちゃんが帰ってきたら

るぅとはAちゃんと、どっちを選ぶんだろう

だってミワちゃんはるぅとの初恋の…

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