俺の隣は誰もいない【urt】 (ページ5)

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うらたside

目の前に恐らく10代後半くらいの女の子が立っていた。生きているのか疑いたくなるほど白い肌に白いワンピース。髪は黒いセミロングくらいだ。

「私が見えてる感じですか？」

『見えてるも何も……』

「マジですか！あの、私……」

いや待て待て。どういう状況だこれ。

『その前になんで俺の部屋にいるわけ？』

「えーと、退屈で。」

『いや、退屈だから人の部屋来るのおかしいだろ。』

「人の部屋って……貴方ここに来てまだ一日も経ってないでしょ。」

『だとしても俺の部屋だろ。つーかなんで知ってんの？』

「さっきから見てたから。っていうか。私からしたら貴方の方が勝手に部屋に入ってきた変な人なんだけど。」

『は？』

「私ずっと前から隣に住んでいるAと申します！」

『いやいや、隣居ないって管理人のおっちゃんが……』

「当たり前じゃないですか。」

『は？』

「私、幽霊ですもん。」

『いやおかしいだろ。』

流石にもう意味が分からない。
ずっと前から住んでいる？
いやずっと前から空き家だろ。
それに幽霊って……コイツ頭大丈夫か？

「今失礼なこと考えましたよね」

『うん。コイツ頭大丈夫かって。』

「普通そこ否定するところですよ。」

なんだコイツ。無駄にノリいいし。

『つーかお前幽霊ってどういうことだよ。』

俺が見えているのに幽霊なはずがない。

「幽霊ですよ。」

『へぇー、じゃあ証拠は？』

「証拠……んー、じゃあこれでどうですか？」

と、手を差し出してくる。
別に透けてもいない綺麗な普通の女の手。

『いや、幽霊なわけ………え？』

透けた。
俺の手が彼女の手をすり抜けた。

『……は？』

何かの見間違いだと思い、何度も触れようと試みるがどうしても透けてしまう。

「これで信じてくれましたか？」

『ああ。』

そう答えるしかなかった。
これだけの現象を目の当たりにして、
彼女を信じる他なかった。

「ねぇ。」

『ん？』

「名前は？年齢は？職業は？」

なんだコイツ、いきなり質問ぜめかよ。

『俺は浦田渉。29歳。職業は……』

「29歳！？」

『そうだけどなんか文句あっか？』

「いや、子供だと思ってた！」

と言い、Aは大笑いし出した。

『チビって言いてえのかこの野郎。』

「はいはい、ごめんなさいね。続けて。」

口では謝りつつもまだ笑っている。

『そういうお前は幾つなんだよ』

「んー、死んだときはたぶん19だったかな。」