俺の隣は誰もいない【urt】 (ページ20)

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うらたside

俺らがキッチンまで行くと、
三人が侵入してくる前に見たようなポーズをした
Aが仁王立ちしていた。

「色々あって忘れてたけどなんもないんじゃん！」

カップ麺と牛乳のみが入っている冷蔵庫を
指して喚いている。

ついてきた二人を見ると、
これは流石にやばいと言いたげな表情で
冷蔵庫を見つめている。

「これでよく生きてこれたな。」

「カップ麺って……栄養偏りすぎやし、そもそもなんで冷蔵庫に入れてるん？」

等と言いながら、
俺にコイツあり得ねえという表情を向けてくる。

………うるせえ。

それから俺らがちょっとした口論をしていたことに気がついたセンラが来た。

「何騒いでるんです……うわあ。」

センラも冷蔵庫を見て絶句している。
しかもあからさまに嫌な表情で固まっている。

なんだその顔は。
　

暫く冷蔵庫を見つめてから俺に視線を戻し、

「うらたん、牛乳って……カルシウムより脂質の方が多いからそんな伸びひんよ、身長。」

と、鼻で笑いながら一言。

それから、
伸ばすんやったら煮干しとか
魚類食えばええやん。と、付け加えた。

よし決めた。コイツぶん殴る。

俺が睨み付けている間も、
一生懸命笑いを堪えている様子。

堪えられてねえんだよ。
ふざけんな高身長イケメンが。

もはや褒め言葉のような文句を心のなかで
呟いた後、今まで完全に空気だったAが
口を開いた。

「これで何を作れと言うのですか。」

『いや、それは……』

俺が口ごもっていると、
今度は坂田が口を開いた。

「カップ麺なら作れるで！俺。」

と、自信満々な顔をした坂田が言った。

違う。そうじゃない。

まーしぃもセンラも、Aさえも
何言ってんだコイツという表情。

しかし坂田はそれに気づかずに

「お、醤油ラーメンあったわ。」

醤油ラーメンを見つけて上機嫌である。

結局、俺が作る！
という坂田の力強い志願によって、
約三分後にラーメンが
リビングに戻って座っていた俺らの前に並んだ。

何故か誇らしげな表情をしている坂田。

おい、お前これカップラーメンだぞ。

しかしこの場の全員がその笑顔に負けて
手を合わせる。

「いただきます。」

成人男性四人でいい大人が全力で作ったカップラーメンを幽霊(女)と一緒に食べているというカオスな光景。

そして突然ふと坂田が一言。

「そういやうらさん、もう成長期過ぎてるから身長伸びひんよ、多分。」

よし決めた。コイツもぶん殴る。